演題

O3-158-15-2

大腸癌肝転移に切除基準と腫瘍悪性度評価

[演者] 良元 俊昭:1
[著者] 島田 光生:1, 森根 裕二:1, 居村 暁:1, 池本 哲也:1, 岩橋 衆一:1, 齋藤 裕:1, 石川 大地:1, 吉川 雅登:1, 東島 潤:1
1:徳島大学病院 消化器・移植外科

【はじめに】
大腸癌肝転移に対し,我々は個数・腫瘍径を問わず,残肝容積>35%であればupfront肝切除を第一選択としているが,原発巣を含めた臨床病理学・分子生物学的悪性度については不明な点が多い.今回,大腸癌肝転移初発肝切除例から切除適応や腫瘍悪性度に関して検討した.
【対象・方法】
肝転移246例中(94'-2015'),術前化学療法を施行していない初回肝切除導入(遠隔転移を含まない)114例を対象とした.1) 原発巣を含む臨床病理学的因子の予後に関する影響とともに,2) 転移巣における分子生物学的悪性度についても検討を加えた.
【結果】
1. 臨床病理学的因子:ROC(Receiver operatorating characteristic)曲線により,生存転帰を転移巣における腫瘍径・腫瘍個数・腫瘍径×個数(Maximum Diameter x Number: MDN)で比較解析したところ,AUCはそれぞれ0.624・0.620・0.668で,MDNが最も高値であった.単変量解析で,原発巣では低分化型,肝転移巣ではH分類(H2,3),Grade分類(B,C),MDN(cut off >20),が有意に予後不良で,多変量解析でも原発巣低分化型(HR6.91, p=0.003),転移巣ではMDN>20(HR2.79, p=0.007)が独立予後規定因子として同定された.
2. 分子生物学的悪性度:Ki67L.I.は原発巣・転移巣間で相関せず(p=0.05, paired t test),原発・転移巣ともにKi67L.I. (cut-off: 40)は予後に差を認めなかった.またTHBS-1(Thrombospondin-1)発現(免疫染色)は原発巣・転移巣間の発現は相関せず(p<0.01, Wilcoxon signed-rank test),転移巣においてのみ陰性群の予後が有意に不良であった(THBS-1 negative vs. positive: 5生率46.2% vs. 84.1%).さらに転移巣THBS-1発現はHIF-1(Hypoxia inducible factor 1)発現とも逆相関していた(p=0.02).
【まとめ】
大腸癌肝転移に対する肝切除の適応はMDN(腫瘍径×個数)により定義することが可能である.さらに肝転移における分子生物学的悪性度に基づいた治療戦略が必要である.
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