演題

O3-158-15-1

原発巣の部位(右側/左側)から見た大腸癌肝転移切除後の予後予測因子の検討

[演者] 中西 良太:1
[著者] 沖 英次:1, 本村 貴志:1, 杉山 雅彦:1, 中島 雄一郎:1, 藏重 淳二:1, 佐伯 浩司:1, 吉住 朋晴:1, 前原 喜彦:1
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学

【背景】手術による転移巣の完全切除は,切除可能な大腸癌肝転移症例に対する最も有効な治療法である.近年,転移性大腸癌の予後に関わる因子として,原発巣の部位(右側/左側)が注目されている.【目的】大腸癌肝転移症例について原発巣の部位に注目して解析し,治療方針を考察する.【対象】九州大学 消化器・総合外科で大腸癌肝転移に対して肝切除術を施行した81例(2011年1月-2015年12月).【方法】原発巣の部位と臨床病理学的因子,予後との関係について後ろ向きに解析した.【結果】原発巣が右側(盲腸~横行結腸)である症例は18症例(21%),左側(下行結腸~直腸)である症例は63症例(79%)であった.右側大腸症例は左側大腸症例に対し,KRAS変異の頻度が高く(P=0.03,64% vs 41%),肝切除前に抗EGFR抗体薬を使用した頻度が低かった(P=0.04,16% vs 44%).しかし肝切除術前の分子標的薬の使用頻度は同程度であった(P=0.55,75% vs 84%).また右側大腸症例は左側大腸症例に対し,肝切除術前化学療法の奏効例が少なかった(P=0.04,16% vs 44%).原発巣の部位とその他の臨床病理学的因子には有意な相関関係は認めなかった.経過観察中央値は20.0カ月で,30例(37%)に肝切除後再発を認め,6例(8%)が死亡していた.右側大腸症例と左側大腸症例は,肝切除後無再発生存は同等であった(P=0.31).左側大腸癌症例では,肝転移個数が1個であること(P=0.01)と,原発巣切除からの期間が1年以内であること(P=0.048)が,良好な肝切除後無再発生存の予測因子であった.術前術後の化学療法の使用状況(術前/術後化学療法の有無,分子標的薬使用の有無,術前化学療法の奏効率)を含め,その他の臨床病理学的因子(KRAS変異の有無,系統的切除の有無,開腹/腹腔鏡,肝切除術後合併症の有無など)は肝切除後無再発生存と有意な相関関係を認めなかった.右側大腸癌症例では上記のすべての因子は肝切除後無再発生存と相関していなかった.【結論】左側大腸癌症例では,肝切除後の予後予測因子は肝転移個数と原発巣切除からの期間であった.右側結腸癌においては肝切除後の予後予測因子は同定できなかった.周術期化学療法も肝切除後の予後と相関せず,さらなる分子マーカーや治療法の開発が必要と考えられた.
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