演題

O1-40-15-3

胃癌腹膜播種の治療効果判定におけるNBI併用審査腹腔鏡の有用性

[演者] 菊池 寛利:1
[著者] 神谷 欣志:1, 廣津 周:1, 村上 智洋:1, 松本 知拓:1, 尾崎 裕介:1, 川端 俊貴:1, 平松 良浩:1, 坂口 孝宜:1, 今野 弘之:2
1:浜松医科大学医学部 外科学第二, 2:浜松医科大学

【緒言】腹膜播種は予後不良な病態であるが,近年の化学療法の進歩によって腹膜播種陽性胃癌の予後は向上しつつある.しかし,CTやPETなどの画像診断による腹膜播種の診断は容易でない.近年,漿膜浸潤陽性胃癌の治療前などに,腹膜播種診断を目的とした審査腹腔鏡が多くの施設で施行されているが,通常の白色光(WLI)による観察のみでは,炎症や癒着等の非腫瘍性病変と腹膜播種との鑑別に難渋することも多い.われわれは以前より,WLIとNarrow band imaging (NBI)観察を併用した審査腹腔鏡の有用性を報告してきた.今回,化学療法の効果判定におけるNBI併用審査腹腔鏡の有用性について検討した.
【対象・方法】進行再発胃癌36例(術後補助療法を除く化学療法なし27例,あり9例)にNBI併用審査腹腔鏡を行い,腹膜播種を疑う腹腔内結節を採取.大網結節等を除く壁側腹膜の49結節につき,審査腹腔鏡所見と病理診断結果を比較検討した.
【結果】今回観察した全ての結節はWLIで白色結節として,NBIでは結節内血管が強調して描出された.結節内血管像を1)拡張2)蛇行3)不均一性4)brown spotの4項目で評価し,いずれかが陽性かつWLIで比較的境界が明瞭な白色結節を腹膜播種(+)と診断したところ,化学療法未施行27例38結節のみの検討ではNBI併用審査腹腔鏡は感度100%,特異度84.2%,正診率92.1%と良好であった.一方,化学療法施行後の9例12結節では感度66.7%,特異度33.3%,正診率58.3%と不良であった.また,3例に4K光学システム+55インチモニターを用いたNBI併用審査腹腔鏡を施行したが,鮮明な画像によって結節内の拡張血管がより詳細に観察可能であった.
【考察】NBI併用審査腹腔鏡は特に化学療法前の腹膜播種診断に高い正診率を示し,今後4K光学システムを応用することでさらなる診断率の向上や新たな知見が得られる可能性がある.近年腹膜播種に対する化学療法の有効性が高まり,腹膜播種結節内の癌細胞が消失せずdormantな状態で存在しつつ長期生存する症例も経験する.予後を反映した腹膜播種に対する化学療法の効果判定には,癌細胞の存在診断とは異なる基準が必要であり,NBI併用審査腹腔鏡による拡張血管消失の確認が化学療法の新規効果判定法として期待される.
【結語】進行再発胃癌において,NBI併用審査腹腔鏡は腹膜播種診断の正診率向上に有用であり,化学療法の効果判定にも応用できる可能性がある.
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