演題

O1-4-6-6

頸部食道癌手術における血流に留意した再建法についての検討

[演者] 氏家 直人:1
[著者] 中野 徹:1, 櫻井 直:1, 谷山 裕亮:1, 瓶子 隆弘:1, 武山 大輔:1, 佐藤 千晃:1, 菊池 寛:2, 亀井 尚:1
1:東北大学大学院 先進外科学, 2:仙台市立病院 外科

[背景・目的]頸部食道癌はその浸潤範囲により,喉頭温存が可能な症例や咽喉食摘が必要な症例,さらには食道亜全摘が必要な症例があり,その再建方法は多岐にわたる.今回,当科における頸部食道癌手術例の再建法について検討したので報告する.
[方法]2007年から2015年までに頸部食道癌の診断で手術を施行した症例は17例あり,周術期成績ならびに短期・長期成績について検討した.
[結果]咽喉食摘を行った症例が12例あり,うち9例で遊離空腸を用いた再建を行い,2例は食道癌胃管再建術後であったため結腸を用いた再建を行った.残りの1例はUtにも病変を認めたため食道抜去を併施し,胃管を用いた再建を行った.また,病変がCeに限局しており,頸部食道切除のみで遊離空腸再建が行われた例が1例であった.Ut浸潤を認め食道亜全摘および縦隔郭清を行った症例は4例あり,いずれも胃管再建を行った.遊離空腸再建時における移植床の動脈は,頸横動脈(50.0%),甲状腺動脈(40.0%),上行頸動脈(10.0%)であり,静脈は内頸静脈(80.0%),外頸静脈(20.0%)であった.胃管再建を行った症例で予定吻合部付近の血流をICGならびに血流ドプラで確認したところ,すべての症例で血流が良好であったため血管吻合付加は併施しなかった.縫合不全は結腸再建例で1例のみ認めたが,保存的加療で改善した.Clavien-Dindo分類GradeII以上の反回神経麻痺はみられなかった.遊離空腸再建例では移植腸管壊死を1例のみ認め再手術を要したが,早期に診断し対応したためその後の経過は順調であった.ICU在室日数は4[2-34]日,経口摂取再開までの日数は7[6-38]日,在院日数は43[21-162]日であった(いずれも中央値).在院死,術後90日以内の手術関連死亡例はみられなかった.5年全生存率は60.1%であった.
[考察]当科では胃管再建時はICGと血流ドプラを用いて予定吻合部付近の血流を確認し,血流が良好であるところで咽頭胃管吻合を行っている.本検討では胃管再建例で縫合不全を認めず,これらによる血流評価は有用であると考えられた.また,遊離空腸再建時の血流障害は術後10日目頃に起こることが多く注意が必要であり,早期の診断が重要である.上記の如く様々な術式を当科で経験したが,いずれの再建方法に関しても比較的安全に施行可能であった.頸部食道癌に対する手術治療は腫瘍の局在や浸潤範囲によって適切な術式・再建法を選択していくことが重要である.
詳細検索