演題

O1-4-6-5

幽門側胃切除後の食道癌に対する残胃温存再建法の検討

[演者] 田中 晃司:1
[著者] 山崎 誠:1, 牧野 知紀:1, 宮崎 安弘:1, 高橋 剛:1, 黒川 幸典:1, 中島 清一:1, 瀧口 修司:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学医学部附属病院 消化器外科

背景:
胃切除術の既往のある食道癌患者に対する手術では,残胃を全摘し,空腸ないし結腸による再建を行うことが一般的である.残胃全摘は癒着剥離等を要することがあり,侵襲を伴う.また,グレリンの低下や栄養状態悪化などが懸念される.
目的:
①残胃温存の可能性についてその妥当性の検証,②残胃温存術式の安全性,有効性についての検討
方法と結果:
①2000年~2014年に当科で施行した胃切除の既往のある食道切除残胃全摘手術例における,胃大彎側リンパ節への転移・再発頻度と生存率を22例(胃切除の対象疾患は胃癌12例,胃十二指腸潰瘍10例を対照に調査した.#4/#10/#11dリンパ節への転移・再発は認めず,残胃を温存し,これらリンパ節郭清を省略できる可能性が示唆された.②2015年以降,残胃を温存する再建法として,8例でdouble tract再建(DT)を行った.本法では,有茎空腸を皮下経路で挙上し,空腸残胃の側々吻合,その下流にY脚吻合を行っている.
2011年から2016年までに胃切除術の既往のある食道癌患者で,残胃全摘有茎空腸RY再建(RY)を行った11例を対照に,比較検討を行った.
平均手術時間はDT/RY:696分/635分,平均出血量は735/965mlであった.Clavien-Dindo分類Grade3以上の術後合併症はDT/RYで6/2例であった.DT/RYの術後1,3,6ヶ月の体重は,術前の93.2/90.2%, 88.8/88.5%, 92.7/88.3%,血清アルブミン値は,術前の94.9/86.7%, 99.4/100.4%, 109.7/87.9%,Prognostic Nutritional Index (PNI)は,38.4/39.0, 43.8/34.5, 45.4/36.6であった.
結語:
胃切除既往のある患者に対する食道癌手術での残胃温存おいて,腫瘍学的妥当性と栄養学的有用性が示唆された.
今後も症例を重ねて,体重や栄養学的指標の推移,QOL評価,血中グレリン濃度の推移の観点から,長期的outcomeについて評価を行っていきたい.
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