演題

O1-4-6-4

食道切除再建法の工夫と成績―横行結腸グラフト変法

[演者] 首藤 潔彦:1
[著者] 森 幹人:1, 山崎 将人:1, 小杉 千弘:1, 平野 敦史:1, 松尾 憲一:1, 幸田 圭史:1, 成島 一夫:2, 阿久津 泰典:2, 松原 久裕:2
1:帝京大学ちば総合医療センター 外科, 2:千葉大学大学院 先端応用外科学

【背景】
胃切除後や胃癌合併食道癌の再建時には結腸や小腸が用いられるが再建経路や吻合法, 到達法など術式は多岐にわたる. 胃に比較し結腸や小腸は血流障害に脆弱であり, 再建臓器の虚血や壊死は重篤な合併症を惹起しその後の再再建に難渋する場合が多い. 我々は左結腸動脈に加え左結腸動脈右枝をグラフト血管とした横行結腸グラフト変法再建を行っており手術の工夫と治療成績を供覧する.
【対象】
横行結腸グラフト変法を施行した(mTC群) 食道癌切除例16例を対象とした(年齢68.5歳, pStage I / II / III / IV = 4 / 1 / 9 / 2, 後縦隔13 / 胸骨後3, 開胸13 / 胸腔鏡3, 胃癌同時切除10 / 胃切除後6).
【検討項目】
旧来施行していた右結腸もしくは回結腸動脈を血管グラフトとした通常の回結腸再建施行27例(IC群)と手術成績(手術時間, 出血量, 術後縫合不全, 術後在院日数)を比較した.
【横行結腸グラフト作成の工夫】
グラフト結腸は横行結腸脾弯曲部の右寄りから上行結腸中央部までとし, 開腹後の早い時点で頸部挙上距離長に合わせグラフト結腸を計測する. 辺縁血管や右結腸動脈および中結腸動脈右枝を仮遮断しグラフト結腸の色調変化を観察しつつ上行・横行結腸の剥離授動を行う. 予定結腸グラフトの血流障害がないことを確認した後に辺縁動脈・右結腸動脈・中結腸動脈右枝を離断. 頸部吻合に備え胸骨甲状舌骨筋・胸鎖乳突筋を半離断し吻合スペースを確保. グラフト結腸を挙上頸部吻合後にICG蛍光法による血流確認. 血流不具合が疑われれば中結腸動脈右枝を用いた血管吻合を付加する.
【結果】
背景因子の比較では, 再建経路はmTC群は後縦隔(81%), IC群では胸壁前(63%)で最多であった(P<0.01). またmTC群は有意に高年齢(68.5 vs. 62.0, P = 0.023), 高ASA-PS2 (37.5% vs. 3.7%, P = 0.007), 高進行例Stage III (68.8% vs. 37.0%, P = 0.044) であった. 術前治療や血行再建付加の頻度に差は見られなかった. 手術成績の比較では, 術前治療, 手術時間, 出血量に差はなく, 術後縫合不全は各々12.5%, 48.2% (P = 0.018), 術後在院日数23日, 50日(P = 0.002)であった.
【まとめ】
従来の回結腸再建法と比較し, 本術式では年齢やASA, 癌進行度の悪い条件下でも術後縫合不全や在院日数を軽減できうる可能性が示唆された有用な再建法と考えられた.
詳細検索