演題

O1-4-6-2

胃管作製不能例に対する有茎空腸を用いた食道再建術

[演者] 前田 直見:1
[著者] 白川 靖博:1, 河本 慧:1, 松三 雄騎:1, 二宮 卓之:1, 田辺 俊介:1, 野間 和広:1, 櫻間 教文:1, 藤原 俊義:1
1:岡山大学大学院 消化器外科学

【諸言】食道切除後の再建臓器として胃を使用できない症例に対しては,腸管を用いた再建が選択される.その際,結腸を用いる施設が多いとされており,当科でもかつては回結腸再建を行っていた.しかし2008年より低侵襲性かつ簡便性を重視して空腸再建に移行し,現在は胃管作製不能例に対する第一選択としている.今回は2010年から採用している空腸再建手技における我々のコンセプトと工夫を紹介し,その成績を検討する.【対象と手術手技】】2010年4月から2016年11月までに胃管作製不能例に対して空腸再建を46症例(男性43例,女性3例)に行ってきた.挙上空腸の血流を極力維持するために第1空腸動静脈のアーケードを温存し,最小限の血管処理で頚部まで挙上するようにしている.腸間膜処理後の血流評価は,肉眼的所見に加え,ICG蛍光法で評価し,血流不良と判断した症例では形成外科にて顕微鏡下血管吻合を付加している.【結果】上記の手技により,第2空腸動静脈までの処理で58.7%(27/46)の症例で頚部までの挙上が可能であり,血管吻合付加を必要とした症例は全体の39.1%(18/46)であった.血管吻合付加を施行した症例の内,鬱血にて静脈吻合のみを付加した症例は全体の8.7%(4/46)で,阻血にて動静脈吻合を付加した症例は全体の30.4%(14/46)であった.術後急性期合併症としては,縫合不全(Clavien-Dindo分類Grade3a以上)を13%(6/46)に認めたが,挙上腸管の壊死や血管吻合に起因する合併症(出血,閉塞等)は認めなかった.また結腸再建で問題となっていた下痢(Clavien-Dindo分類Grade2以上)は1例も認めなかった.【結語】胃管作製不能例において,空腸を用いた食道再建は剥離範囲が小さく,血管処理の工夫により簡便に挙上が可能であり,術後合併症も少ない安全な手技である.また,術後下痢の発生率は結腸に比して有意に少なく消化吸収に有利であり,術後QOLの向上にも寄与するものと考えられる.
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