演題

O1-4-6-1

血管吻合付有茎空腸再建術の工夫と治療成績

[演者] 中村 哲:1
[著者] 松田 佳子:1, 山本 将士:1, 金治 新悟:1, 山下 公大:1, 松田 武:1, 押切 太郎:1, 角 泰雄:1, 鈴木 知志:1, 掛地 吉弘:1
1:神戸大学大学院 食道胃腸外科学

【はじめに】胃管作成不能症例に対して食道再建術には様々な再建方法が報告されているが教室では血管吻合を付加する有茎空腸再建術後を行い良好な成績を得ている.今回その手術手技と治療成績について報告する.
【手術手技】1.挙上空腸グラフトの作成:第2,3空腸動静脈を切離,辺縁血管を損傷しないよう空腸間膜を弧状に切開して空腸の挙上性を高める.十二指腸空腸曲から10-15cmほどの部位で空腸を切離する.血管内膜損傷に起因する血栓形成を回避する為に血管処理では電気メスによる焼灼を避けて結紮切離することが肝要である.小腸間膜を可能なかぎり後腹膜から授動する.2.挙上経路の作成:胸壁前経路再建を行う.皮弁を作成後に吻合部に過度の屈曲が起こらないように鎖骨骨頭,胸骨柄を切削する.また,剣状突起から胸骨体部下端をスリット状に切削して,挙上空腸血管に過度の圧迫,屈曲がかからないように配慮する.3.微小血管吻合は,右内胸動静脈が左側より太いことが報告されており,通常は右側を使用するが症例によっては左側を用いる.挙上空腸血管を吻合してaugmentationとする.4.吻合:端側のAlbert-Lembert吻合を行う.
【治療成績】2011年から2016年までに行った血管吻合付加有茎空腸再建術28例について検討した.男性27例,女性1例.平均年齢66.1歳.症例の内訳は,胃切除後食道癌9例,大動脈食道瘻7例,胃癌食道癌重複/接合部癌8例,胃管癌4例,その他2例であった.
手術成績であるが,縫合不全は2例(7.1%)に認めたが,保存的に治癒した.挙上空腸グラフと壊死は認めなかった.手術関連死亡なし.薬物治療を必要とする下痢は認めなかった.
【結語】血管吻合付有茎空腸再建術は,挙上性も十分に担保され,許容できる手術成績
で第一選択となりうる術式と考える.また,血管吻合付加は全例に行うことにより,術中に予期せぬ挙上グラフト壊死を回避できると考えている.
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