演題

O1-3-6-5

胸部食道癌切除後再建法:胸腔内胃管吻合を安全に行うための工夫

[演者] 岩田 直樹:1
[著者] 小池 聖彦:1, 小林 大介:1, 神田 光郎:1, 田中 千恵:1, 藤原 道隆:1, 中山 吾郎:1, 杉本 博行:1, 藤井 努:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

【はじめに】食道癌切除後再建法で胸腔内吻合再建は,縫合不全を来すと肺瘻・気管瘻や胸腔内の感染により,重篤な状態に陥る可能性がある.手術法・周術期管理法が著しく向上し,食道癌の術後死亡率が低下していくとしても胸腔内吻合再建後の縫合不全は致命的な合併症となりえる.一方で,嚥下機能の点からは解剖学的経路である後縦隔経路が有利であるとも言われている.当科では,胸部中部・下部食道癌で反回神経沿いリンパ節転移陰性の症例に対しては2領域郭清・後縦隔経路胃管胸腔内吻合再建を標準術式としている.安全に手術を行うために,患者の病態・リスクを考慮して胸腔内吻合再建の適応を決定している.また,手術では十分に長い胃管を作成することで胃管血流のよい部分で吻合することや,胃管を大網で被覆することなどに注意を払って合併症予防に努めている.ビデオを供覧し,合併症予防のために我々が重要と考えている点について発表する.
【対象・方法】2006年~2015年までの10年間に,当科で胸部食道癌に対して食道癌根治術を行い,胃管再建を行った331例について,その病歴・術後経過について後方視的に検討した.
【結果】331例の再建法別の内訳は,胸腔内吻合再建180例,胸骨後経路頸部吻合再建97例,後縦隔経路頸部吻合再建37例,胸壁前経路再建17例であった.胸腔内吻合再建は胸部上部食道癌症例が有意に少なかった.それぞれの再建法における縫合不全の発生割合は1%,7%,11%,6%であった.また,反回神経麻痺発生割合は4%,8%,23%,19%であった.胸腔内吻合を行った症例では術死・在院死をみとめていない.
【結語】術式の適応が異なるため,胸腔内吻合と他の再建法を比較することはできず,胸腔内吻合がすぐれた再建法であるとは結論付けられない.しかし,適切な症例選択を行い,手術手技に十分注意を払うことで胸腔内吻合は安全に行うことができると考えられる.
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