演題

O1-3-6-2

食道癌術後胃管再建における再建経路による栄養指標の検討

[演者] 兼清 信介:1
[著者] 武田 茂:1, 飯田 通久:1, 北原 正博:1, 坂本 和彦:1, 鈴木 伸明:1, 吉野 茂文:2, 硲 彰一:3, 上野 富雄:1, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院 先端分子応用医科学講座(消化器・腫瘍外科学), 2:山口大学附属病院 腫瘍センター, 3:山口大学医学部 先端がん治療開発学

【背景】
食道癌根治切除後の胃管再建経路は,一般的に後縦隔あるいは胸骨後経路が採用されている.ガイドライン上は,手術の安全性や術後の食事摂取などを考慮して判断することとあるが,各施設あるいは症例毎に選択されているのが現状である.
【目的】
食道癌に対して,食道亜全摘術胃管再建が施行された症例について,再建経路別(後縦隔再建:P群vs胸骨後再建:R群)に術前および術後の栄養評価指標,合併症発生率,生存率等についてRetrospectiveに比較検討する.
【対象と方法】
2006年1月から2015年12月にかけて,当科にて食道亜全摘術胃管再建が施行された198例(P群112例vs R群86例)を対象とした.2014年以前は進行癌症例では胸骨後再建を選択することが多かったが,2014年以降はほぼ全例後縦隔再建を選択してきた.背景因子の偏りが生じるため,多重ロジスティック回帰分析によりPropensity scoreを算出し調整した.1)手術期合併症と生存率,2)術前と術後6ケ月,術後12か月における栄養評価指標としてのCONUT score(アルブミン値と総リンパ球数,総コレステロール値より算出),3)術後12か月における内視鏡所見を検討した.
【結果】
R群ではP群と比較して,開胸とpStageII以上の症例が多かった.これらの因子を共変量としてPropensity scoreを用いてマッチングした結果,各群27例が抽出された.1)手術期合併症と生存率:不整脈や縫合不全,肺合併症等の合併症発生率に両群間に差を認めなかった.PFSやOSに両群間に差は認めなかった.2)栄養評価指標:栄養不良(CONUT score3点以上)を認めた症例は,術前(P群9.3%vs R群7.4%,p=0.715),術後6か月(18.0%vs15.4%,p=1.000),術後12か月(8.6%vs22.9%,p=0.049)であり,P群が術後12か月の栄養状態が良好であった.3)内視鏡所見:吻合部狭窄(P群22.5%vs R群10.2%,p=0.052)とR群が少ない傾向にあった.逆流性食道炎や食物残渣停滞の発生は両群間に差は認めなった.
【結語】
後縦隔再建は胸骨後再建と比較して,周術期合併症や生存率は同等であったが,術後12か月の栄養状態が良好であった.たしかに,術後再発や術後合併症に対する対応のしやすさ等の短期的なメリットは,胸骨後再建にあると考えるが,食道癌治療成績の向上に伴い,栄養状態等の長期的な視点から,後縦隔再建が当科では第一選択と考える.
詳細検索