演題

O1-3-6-1

胸部食道癌における右開胸開腹手術の再建経路の検討

[演者] 前田 新介:1
[著者] 成宮 孝祐:1, 工藤 健司:1, 矢川 陽介:1, 井上 雄志:1, 谷口 清章:1, 大杉 治司:1, 山本 雅一:1
1:東京女子医科大学病院 消化器外科

(はじめに)胸部食道癌に対する右開胸開腹手術における再建経路は,術式や術前の合併症,重複癌などによる残存臓器の有無などにより各施設において,統一された見解がないのが現状である.我々の施設では2012年から胸腔鏡下手術を導入したため,それまで行ってきた胸部操作下に行う胸腔内高位吻合に代わり,胸骨後経路での頸部吻合の割合が増加してきた.しかし,高度の呼吸器合併症を有する場合や,サルベージ手術を含む術後に縫合不全を来しうると判断された症例に対しては胸壁前経路にて再建をおこなっている.
(目的)再建経路別の縫合不全の有無等から,至適再建経路の選択につき検討を加える.
(対象と方法)2010年1月から2015年12月までに胸部食道癌の診断で右胸開胸開腹手術が施行され,経過が判明している162例中,胸腔内高位吻合65例,胸壁前経路36例,胸骨後経路47例,後縦隔経路頸部吻合14例につき,再建経路の選択理由と縫合不全発生率を検討した.
(結果)(1)胸壁前経路の選択理由は胃切除後11例(小腸再建9例,大腸再建2例),食道切除がR1もしくはR2となった7例,重度の糖尿病3例,高度肺機能障害3例,サルベージ手術4例,難治性胃潰瘍2例,その他6例(肝硬変,膠原病,透析中など).このうち,major leakにより再手術を必要としたのは3例(胃切除後小腸再建例,膠原病にてステロイド使用例,肝硬変例),経過観察にて根治可能であったminor leakは11例であった.(2)胸腔内高位吻合は2012年11月までの鏡視下手術導入以前に多く,major leak 1例,minor leak 2例であった.(3)胸骨後経路は鏡視下手術導入以後の基本術式で,縫合不全は0例であったが,屈曲と吻合部にねじれを生じた2例に再手術をおこなった.また,術後頻脈を8例に認めた.(4) 後縦隔経路頸部吻合では縫合不全は0例であったが,除細動を必要とした不整脈が1例,また術後3年目にESD可能であった胃管癌1例を認めた.
(考察)食道癌患者の高齢化に伴い,術前の合併症や重複癌のため胃が使用できない症例が増加したため,安全性を重視し,胸骨後経路もしくは胸壁前経路の選択が増えている.しかし,胸壁前経路では食事の通過状況や美容上の問題,胸骨後経路では再手術の困難さと術後の頻脈が問題となる.再建経路の選択に際しては症例に応じた吟味が必要であり,また胃管癌などを早期に発見し得る経過観察が必要であると考える.
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