演題

O1-2-6-5

食道癌手術における縫合不全のリスク因子の検討と対策

[演者] 大井 正貴:1
[著者] 安田 裕美:1, 吉山 繁幸:1, 三枝 晋:1, 問山 裕二:1, 小林 美奈子:2, 荒木 俊光:1, 井上 靖浩:1, 毛利 靖彦:1, 楠 正人:1
1:三重大学大学院 消化管・小児外科学, 2:三重大学大学院 先端的外科技術開発学

【背景】食道癌に対する食道切除は近年の胸腔鏡手術の導入や術中術後管理の進歩により安全性は高まってきた.しかし術後の縫合不全の頻度はいまだ低いとはいえず,術後在院日数の延長やQOL低下の原因となっている.近年ICGを用いた胃管の血流評価が行われるようになったが,縫合不全を実際に減少させることができるかどうかの検証はまだなされていないのが現状である.【対象と方法】2000年1月から2015年12月までに当科で食道切除再建術を施行した133例のうち腸管再建,二期的再建を除き一期的胃管再建を施行した120例を対象としてretrospectiveに検討を行った.当科での標準的な胃管作成は,開腹または腹腔鏡補助下に自動縫合器(Linear stapler)を用いて半切胃管を作成する.2012年以降は縫合不全の発生を軽減させるための工夫としてインドシアニングリーン(ICG)を静脈注射し赤外線観察カメラシステムで胃管血流評価を行い吻合部位の決定を行っている.頸部吻合の場合,経路は胸骨後経路再建を第一選択とし,吻合は血流評価の結果を基に自動吻合器(Circular stapler)を用いた食道胃管端側吻合を第一選択,手縫い端々吻合を第二選択としている.胸腔内吻合の場合は鏡視下にCircular staplerを用いて食道胃管端側吻合を行う.縫合不全発症のリスク因子について臨床病理学的因子,血液学的因子,手術因子との関連について単変量および多変量解析を行い検討した.【結果】胃管再建症例中の縫合不全症例(胃管壊死1例,吻合部気管瘻1例を含む)は10例あり,頻度は8.3%であった.縫合不全発症頻度と臨床病理学的因子および手術時間,出血量,アプローチ,リンパ節郭清,吻合方法には関連を認めなかった.単変量解析で縫合不全のリスク因子であったのは好中球リンパ球比高値(HR 3.8130, 95% confidence interval [CI] 0.9999-18.4563, p=0.0500)とICGによる血流評価を行わなかった症例であった(HR 10.0384, 95% confidence interval [CI] 1.7969-188.2576, p=0.0057).多変量解析ではICGによる血流評価を行わなかった症例が独立した縫合不全リスク因子であった(HR 9.0740, 95% confidence interval [CI] 1.5923-171.2574, p=0.0098).【結語】食道切除後再建において吻合部の血流に留意し,ICG蛍光法による胃管血流評価を行い吻合部位を決定することにより縫合不全を減少させる可能性があることが示唆された.
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