演題

O1-2-6-4

食道胃管吻合における胃管血流評価による縫合不全防止の工夫

[演者] 中島 雄一郎:1
[著者] 佐伯 浩司:1, 工藤 健介:1, 堤 亮介:1, 西村 章:1, 中西 良太:1, 杉山 雅彦:1, 藏重 淳二:1, 沖 英次:1, 前原 喜彦:1
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学

【背景】食道切除後の胃管再建における吻合部縫合不全は,ある頻度で発生する患者QOLを著しく低下させる術後合併症であるが,血流障害がその主たる発生要因と考えられている.これまで様々な血流測定法が試みられたが,客観的な評価法は未だ確立していない.
【目的】当教室では外翻三角吻合および吻合部への大網被覆を食道胃管吻合法の標準的な術式としており(Nakashima Y, J Am Coll Surg. 2016),経時的ICG蛍光法を用いた胃管および大網の血流定量化を行ってきた(Yukaya T, J Am Coll Surg. 2015).当教室におけるこれらの工夫について紹介し,吻合関連合併症の発生頻度の推移を検討する.
【対象・方法】1)食道癌手術の再建時にICG蛍光法により胃管血流を探索的に評価した27例を対象とした.ICGを 0.1mg/kg末梢静脈より投与して,ICG蛍光法にて胃管を術中に5分間連続撮影し,解析ソフトにて胃管の右胃大網動脈最終枝の3cm口側の輝度を解析した.輝度の継時的変化により,血流型を(A)血流良好型,(B)流入遅延型,(C)流出遅延型の3型に分類し,臨床的因子や胃管の条件との関係を検討した.2)吻合関連合併症の発症頻度の変遷:2014年4月から2016年12月に食道切除後再建法として三角吻合を施行した90例を前期(45例)と後期(45例)の2群に分類して,縫合不全と吻合部狭窄の発症頻度の推移を検討した.
【結果】1)ICG蛍光法による(A)血流良好型は13例(48%),(B)流入遅延型は9例(33%),(C)流出遅延型は5例(19%)であった.胃管における左右胃大網動脈の肉眼的交通を11例(41%)に認めたが,(B)流入遅延型9例中8例(89%)に左右胃大網動脈の肉眼的交通を認めなかった(P<0.01).年齢,胃管の長さや太さ,測定時血圧など他の因子とは明らかな相関を認めなかった.2)縫合不全と吻合部狭窄は前期群で2例(4.4%)・8例(17.8%),後期群で0例(0%)・6例(13.3%)と発症頻度は減少した.
【まとめ】新たな縫合不全防止の取り組みとして,経時的ICG蛍光法により胃管の動脈血流障害および静脈還流障害を客観的に評価することが可能となった.客観的血流評価が血流障害に起因する縫合不全の発症予防に寄与することが期待される.
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