演題

O1-2-6-3

食道手術における術中再建胃管血流評価による臨床的有用性と胃管挙上法の工夫

[演者] 萩原 信敏:1
[著者] 松谷 毅:1, 野村 務:1, 藤田 逸郎:1, 金沢 義一:1, 柿沼 大輔:1, 菅野 仁士:1, 牧野 浩司:2, 太田 惠一朗:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学付属病院 消化器外科, 2:日本医科大学多摩永山病院 消化器外科・乳腺外科・一般外科

【はじめに】再建を伴う食道手術においては再建臓器として胃管が汎用されている.胃管作製の成否は術後の合併症発症に直結するため,良好な胃管作製が重要である.我々は以前,術中に胃管作製後の漿膜色調から判断して再建に用いる部位の決定を行ってきたが,術後に胃管血流障害が生じる症例に時たま遭遇してきた.近年,我々は術中胃管血流評価としてIndocyanine green (ICG) 蛍光法を用いており,良好な結果を得ているので報告する.また,鏡視下にて食道手術を行った際の胃管挙上は開胸時とは異なった手術の工夫が必要となる.我々が行っている簡便かつ安全な鏡視下食道術後の後縦隔経路胃管挙上法についても紹介する.
【対象と方法】
2011年より2016年まで食道手術にて胃管再建を行った症例で,術後に上部消化管内視鏡を用いて胃管を観察した107例を対象とした.対象症例のうち34例は,赤外線観察カメラシステム(PDE-NEO, 浜松ホトニクス)を用いて術中ICG蛍光法にて胃管血流を観察,血流良好な領域を吻合に用いた.術後上部内視鏡にて胃管内腔の観察を行い,ICG導入前と導入後の胃管粘膜血流の比較を行った.また,以前行っていた鏡視下食道術後の後縦隔経路胃管挙上法と現在我々が行っている挙上法での偶発症の比較を行った.
【結果】術中赤外線観察カメラシステムにて吻合部を決定したICG蛍光法導入後の症例は,術後の上部内視鏡観察にて胃管粘膜色調は全例良好であった.一方,ICG蛍光法導入以前の症例では術後内視鏡の評価で約30%に胃管粘膜の色調不良/血流障害を認めた.ICG蛍光法導入前の縫合不全発症率が15.1%に対して,ICG導入後は5.9%と減少した.また,鏡視下手術後に後縦隔経路で胃管を挙上した際に生じた偶発症発生は,従来法では21%であったのに対して,現在行っている方法では1例も生じていない(0%).
【結語】食道切除後再建法の工夫として術中ICG蛍光法による胃管血流評価は,吻合部位決定を行うために有用であると考えられた.また,鏡視下手術の際に我々が行っている後縦隔経路胃管挙上法は簡便かつ安全であった.
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