演題

O1-1-6-6

短期成績と長期成績からみた最適な食道切除後再建法

[演者] 吉田 直矢:1
[著者] 馬場 祥史:1, 木下 浩一:1, 坂本 快郎:1, 岩槻 政晃:1, 澤山 浩:1, 中村 健一:1, 大内 繭子:1, 渡邊 雅之:2, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学附属病院 消化器外科, 2:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景】食道切除後の最適な再建方法を決める上で,短期成績(縫合不全,吻合部狭窄の発生率)および長期成績(術後1年目の体重変化,アルブミン値などの栄養データ)の両方が良好であることが重要と思われるが,これらに関する研究はほとんどなされていない.(PubMedで検索,Yamasaki M et al, World J Surg 2015のみ)
【目的】食道切除後の再建方法が短期および長期成績に与える影響を調査し,最適な再建法について検討する.【対象と方法1】食道切除術後1年目の体重,栄養に関する前向き観察研究の結果を元に,体重減少がより少なくなる再建方法について検討する.対象は2012年11月~2015年12月までに食道切除+胃管再建を行い,無再発で経過している80例.【結果1】全症例の検討において,手術後1年目に平均11%の体重減少が認められた.10%以上の体重減少に関わる因子を調べるため,単変量解析でp<0.1であった男性(p=0.064),FEV1%<70%(p=0.075),幽門形成あり(p=0.070)を用いて多変量解析を行った.その結果,幽門形成ありはHR 3.4,(p=0.048)で有意な独立因子となった.再建経路,胸管切除の有無,郭清範囲は関連がなかった.【対象と方法2】2005年4月~2016年11月までに食道切除+1期的胃管再建を行った504例を対象とし,吻合法ごとの縫合不全発生率を調査した.【結果2】ステイプララインと端々吻合を行う従来法では,吻合法の如何に関わらず縫合不全が高率であった.(三角吻合13%,サーキュラー10%,手縫い21%).大網を被覆すると縫合不全が低下した(8%).縫合不全症例は有意に吻合部狭窄が多かった(p<0.001).また食道と細径胃管の端々吻合を行う場合,縫合不全が起こる部位はほとんどが胃管のステイプララインと吻合線の交点であった.これらの結果を元に2016年7月から,亜全胃管,胃管前壁への手縫い層々吻合,大網被覆,幽門形成の組み合わせ再建を行っている.この再建法では縫合不全,吻合部狭窄とも0%(0/14)で,吻合関連合併症が有意に少なかった.【考察と結語】幽門形成を行うことで胃管内容排泄遅延のが抑制され,体重減少低下に関与する可能性がある.またステイプララインを避けた手縫い層々吻合は,吻合関連合併症が少なく有用と考えられた.これらの結果から亜全胃管,胃管前壁への手縫い層々吻合,大網被覆,幽門形成の組み合わせが短期,長期成績をともに満たす有用な再建法と考えている.
詳細検索