演題

O1-1-6-4

食道癌に対する胸骨後経路胃管再建の吻合方法別の術後合併症と栄養状態の評価

[演者] 松本 壮平:1
[著者] 若月 幸平:1, 右田 和寛:1, 伊藤 眞廣:1, 中出 裕士:1, 國重 智裕:1, 中谷 充宏:1, 北野 睦子:1, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学附属病院 消化器・小児外科・乳腺外科

【目的】食道切除後の食道胃管吻合は他の消化管吻合と比較して縫合不全や狭窄などの吻合部合併症が多いとされる.吻合部合併症は患者の術後短期成績に大きな影響を及ぼすが,吻合部狭窄では栄養状態などの長期予後にも深く関連している.我々は胃管による胸骨後経路頸部吻合を標準術式として行っており,吻合にはサーキュラーステイプラー(CS)を使用していたが,2013年にリニアステイプラーを用いた三角吻合(TS)に変更した.これらの吻合方法の違いによる手術成績および術後の栄養状態を比較検討した.【対象と方法】2009年から2015年までにR0切除を施行した食道癌手術症例で胸骨後経路頸部胃管再建84例を対象とした.他癌合併,1年以内の再発症例,高位の手縫い吻合は除外した.【結果】CS 34例,TS 50例で平均年齢は両群とも65歳で,性別には差は認めなかった.占拠部位(Ut/Mt/Lt/Ae)においても,CS 3/20/7/4,TS 6/29/14/1で差はなかった.病理学的深達度(pT0/T1a/T1b/T2/T3)はCS 1/4/14/3/12, TS 5/8/19/6/12,リンパ節転移(N0/N1/N2/N3)はCS 16/8/5/5,TS (27/8/13/2),進行度(St0/I/II/III/IV)はCS 4/8/9/8/5,TS 7/13/16/11/3,腫瘍径(CS/TS 30/31mm),術前化学療法例はCS/TS 19/30例で両群間に差は認めなかった.術式では開胸/胸腔鏡CS 1/33,TS 2/48で差はなかったが,開腹/腹腔鏡ではCS 20/14,TS 12/37とTS群で有意に腹腔鏡が多かった (P=0.003).頸部郭清を行った症例はCS 28例,TS 44例で差は無かった.手術時間はCS 551分,TS 565分,出血量はCS 519g,TS 321gで両群間に差は認めなかった.吻合関連合併症では縫合不全でCS 17%,TS 10%と差はなかったが,術後1年以内の拡張術ではCS 47%,TS 14%と有意にTS群が少なかった (P=0.002).術後1年目の栄養状態を比較するとCS/TSで体重(11/13%),リンパ球数(10/7%),アルブミン(1/3%),血清鉄(2/4%)で減少率は同等であったが,ヘモグロビン(10/4%),総蛋白(3/0%),総コレステロール(20/6%)の減少率はTS群で有意に少なかった.【まとめ】胸骨後経路頸部吻合における三角吻合は吻合部狭窄を減少させ,術後栄養状態の悪化を軽減する可能性がある有意義な吻合方法であることが示唆された.
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