演題

O2-95-15-5

術前化学放射線療法(CRT)を行った下部進行直腸癌症例の術後3カ月内のCEA値は予後を予測しうるか

[演者] 森本 光昭:1
[著者] 堀江 久永:1, 直井 大志:1, 鯉沼 広治:1, 仲澤 聖則:1,2, 佐久間 康成:1, 細谷 好則:1, 北山 丈二:1, Alan Lefor:1, 佐田 尚宏:1
1:自治医科大学医学部 消化器外科学, 2:自治医科大学医学部 放射線医学

【背景】
下部進行直腸癌に対する術前CRT後に根治的切除を施行した症例においても潜在的転移や遺残病変が存在し,予後を不良とする.これらを予測する指標があれば全生存の向上に繋がると思われる.術後CEA値が再発,死亡を予測する指標になりうるかについて検討した.
【術前RT/CRTの適応】
術前画像検査にて壁深達度A以深或いはリンパ節転移陽性症例.
【側方郭清について】
2012年までは予防的・治療的側方郭清を施行,2013年以降は治療的側方郭清のみ施行.
【対象と方法】
対象は2006年から2015年まで術前RT/CRT後に根治的切除術を施行したcStageII/IIIの90症例.
術後1~3か月内に採取された血清CEA値と予後(死亡)によりROC曲線を作成(AUC=0.77),cut off値を2.0ng/mlと定めた.A群:CEA値≦2.0ng/ml B群:CEA値>2.1ng/mlの二群に分け,これらと病理学的因子(壁深達度,リンパ節転移,ly,v,Tumor regression grade,垂直断端陽性)を交絡因子として再発,死亡に関与するかについて多変量解析を行った.更にA,B群間で 5年DFS, 5年OSについて比較した.
【結果】
年齢62(27-79)歳,男/女:70/20.血清CEA2.7(0.3-52.9)ng/ml,術前RT/CRT(UFT/SOX/TS-1):32/58例(44/3/11例),手術(低位前方切除術35例,直腸切断術53例,骨盤内臓全摘術2例),側方郭清術54例(予防的41例,治療的13例),腹腔鏡手術13例,ypN stage, ypStage(0/1/2/3a/3b/4:A群(n=60)5/14/23/9/8/1例,B群(n=30)1/6/12/5/5/1),上記因子に関しA・B群間に有意差なし.再発はA群11例(18.3%),B群8例(26.7%)(p=0.258)有意差なし,死亡はA群4例(6.7%),B群7例(23.3%) (p=0.029)有意差を認めた.再発部位は局所再発3例(3.3%),遠隔転移16例(17.8%).単変量解析にて術後CEA値は死亡との間に有意関係(p=0.031)を認めたが,多変量解析にて再発,死亡に関し有意差を示す因子はなかった.5年DFS:A群79.5%, B群73%(Logrank test p=0.222)であったが,B群の再発は全例15か月内(中央値9か月:2-15か月)に発生していた. 5年OS:A群91.4%, B群71.5%(Logrank test p=0.009)と有意差を示した.
【結論】
血清CEA値2.0ng/mlは基準内でありその生物学的意義は今回の研究から言及できない.しかしながら,血清CEA2.1ng/ml以上の症例は病理因子に関係なく,早期に再発する傾向があり,さらに予後も不良であった.術後CEA値は予後を予測しうる可能性があり,全生存率向上のためにも更なる調査が必要と考えられた.
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