演題

O2-95-15-4

CEAの正常化は局所進行直腸癌に対する術前加療の予後予測因子になりうるか?

[演者] 肥田 侯矢:1
[著者] 吉冨 摩美:1, 橋本 恭一:1, 高橋 亮:1, 山田 晴美:1, 稲本 将:1, 河田 健二:1, 小濱 和貴:1, 坂井 義治:1
1:京都大学附属病院 消化管外科

【背景】
局所進行直腸癌に対する化学療法(CT)および放射線化学療法(CRT)は本邦でも術前治療として局所再発予防や予後の向上を目指して考慮されるようになった.当院では,CRMを脅かす可能性のある腫瘍に対して術前CRTを,CRMは確保できるが高度リンパ節転移を伴うものに関して術前CTを取り入れてきた.しかしながら,治療が有効な症例の抽出や,予後予測の可能性については十分な検討が行われていない.
【目的】
当院における局所進行直腸癌の術前加療について,CEA正常化が予後予測に有用であるかを検討し,術前加療が有用な対象を探索する.
【方法】
当院で2005年7月から2016年10月までに手術が行われた,cStageIII直腸癌(Ra,Rb)について,術前加療を行った症例と手術単独症例のCEA値と無再発生存(RFS)の関係を解析する.また,症例の背景因子で層別し術前加療有無でのRFSを評価する.
【結果】
この時期に手術が行われた遠隔転移のない直腸癌は227例,そのうちcStageIIIは155例であった.術前CTは42例,術前CRTは20例(すべてIRIS併用・45Gy)に行われていた.pCRはCTの4例,CRTの3例に確認された.RFSに関して,手術単独症例でCEA高値は予後不良の傾向であった(2年RFS 68% vs 81% p=0.08)が,術前加療のある症例においては,CEAが正常化してもCEA高値の症例と同等の予後(2年RFS 77% vs 77%)であり,予後予測をすることは困難であった.CRM確保が困難と予想された症例(cCRM(+))については,手術単独症例と術前CT群の予後は同等であったが(2年RFS 66% vs 63%),術前CRT群はよい傾向にあった(同100%,p=0.09).逆に,CRTが確保できると判断した症例(cCRM(-))では,手術単独群,術前CRT群に比して術前CT群がよい傾向にあった(2年RFS 78% vs 67% vs 89%, p=0.26).また,RaとRbの部位による効果には差を認めなかったが,前壁病変に関しては,手術単独が予後不良の傾向で,手術単独,術前CT,術前CRTの2年RFSはそれぞれ76%,83%,100%,p=0.29であった.
【結語】
CEAは手術単独群の予後予測には比較的有用と考えられたが,術前加療後の予後予測の指標にはならなかった.CRT群の追跡期間がまだ短かく(中央値:20か月),統計学的な有意差はえられていないが,cCRM(+)症例で術前CRTが,cCRM(-)症例で術前CTが比較的良好な予後と関連しており,当院の治療方針は現時点で妥当であると考えた.
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