演題

O2-95-15-2

下部進行直腸癌に対する括約筋間切除術の集学的治療の成績

[演者] 小杉 千弘:1
[著者] 幸田 圭史:1, 田中 邦哉:1, 首藤 潔彦:1, 松尾 憲一:1, 森 幹人:1, 平野 敦史:1, 廣島 幸彦:1, 栃木 透:1, 笠原 康平:1
1:帝京大学ちば総合医療センター 外科

【はじめに】下部直腸癌に対する括約筋間切除術 (ISR)や外肛門括約筋部分切除を付加するpESRでは,局所再発の制御および長期予後の向上が課題である.しかし局所制御を担保するために施行される術前CRTは術後肛門機能障害の合併が問題点としてあげられる.当科における局所根治性を確保するための術前治療の成績と術後排便機能障害に関与する要因について検討した.【対象】2007年11月から2015年12月までに当科でISRまたはpESR施行した1年間以上の観察が可能だった52例.男性39例,女性13例.年齢中央値65才(34 - 76).【結果】ISR術式はtotal:subtotal:partialが3:46:3例.pESRを付加したものは16例.手術時間は228.9±46.9分,出血量は355.1±333.1ml.局所再発率は9/52例(17.3%).cT4もしくはcN3症例に対して術前放射線化学療法(CRT:9例)または分子標的薬併用化学療法(NAC:13例)施行.CRTで1例/9例,NACで6例/13例でpRM(+)だった.pRM(+)症例には術前CRT症例に対して術後化学療法,NAC症例に対してCRTもしくは化学療法を付加することで局所再発はNAC群での3例のみだった.術後合併症は術前未治療群で10/30例(33.3%),術前治療群で4/22例(18.2%)と増悪することは無かった.全症例の5年DFS63.2%,5年OS80.5%.ypStage別でStageI:IIで5年DFSは100%:87.8%,5年OSは95.5%:100%だったが,StageIIIで5年DFS45.8%,5年OS62.2%と予後不良な成績だった.NAC群では5年OSが67.1%,5年DFSが41.7%,CRT群では5年OSが76.2%,5年DFSが44.4%であった.一時的人工肛門閉鎖は46例/52例で可能.人工肛門閉鎖後1年目のWexner scoreは11.0±5.6点.NAC群では10.5±5.9,CRT群では12.2±6.9,術前治療未使用群では9.9±5.4となり,NACもCRTもWexner scoreの増悪と相関を示すことはなかった.【結語】ISR対象症例に対してESR,CRT,NACなどの集学的治療を付加し,可能な限りの温存組織損傷を避けることが,局所根治性の向上および術後排便機能障害の回避に重要な要素と考えられた.またStageIII症例に対するさらなる集学的治療の今後の検討が必要である.
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