演題

O2-94-15-4

当院での下部進行直腸癌症例に対する術前化学放射線療法後の治療成績ならびに注意点

[演者] 村山 康利:1
[著者] 中西 正芳:1, 有田 智洋:1, 塩崎 敦:1, 栗生 宜明:1, 生駒 久視:1, 市川 大輔:1, 藤原 斉:1, 岡本 和真:1, 大辻 英吾:1
1:京都府立医科大学医学部 消化器外科学

【はじめに】術前化学放射線療法(NACRT)の目的は局所進行直腸癌に対する治癒切除率の向上,局所再発の制御である.当院では2008年からNACRTを導入しており,その短期成績ならびに予後について報告する.
【対象と方法】対象は2008年8月から2016年10月の60例で,NACRTの適応は,腫瘍下縁がRbにかかるT3以深,N0-3,M0の局所進行直腸癌とした.また年齢は80歳以下で,臓器障害・活動性の重複癌の無い症例とした.レジメンはIRIS,放射線照射45Gyとした.治療後6から8週間後に手術を施行した.局所再発率,生存率については2001年からのCRT未施行の手術単独群52例と比較した.また,32例については切除標本を用いてCRT後の線維組織の範囲や残存腫瘍の広がりを再評価した.
【結果】男性38例女性22例,平均年齢は64.5歳.臨床的治療効果はPR50例,SD9例,PD1例であった.有害事象は60例中50例(83%)で認められたが,grade 3は好中球減少10例,白血球減少6例,下痢5例,間質性肺炎1例,放射線性腸炎2例であった.手術の内訳はAPRが27例,LARが26,ISRが4例,TPEが3例であった.47例で側方郭清を施行したが,術前の画像診断で転移陽性と診断された2例のみ転移を認めた.組織学的効果判定はgrade3が5例,grade 2が30例,grade 1bが18例,grade 1aが7例であった.CRT群で手術単独群と比較し,局所再発率は少ない傾向(5%, 11.5%)にあったが,生存率に有意差は認めなかった.全切除標本レビューを行った32例のCRT後の肉眼型は0-IIc型/2型: 16例/16例であった.通常型腺癌の側方方向の腫瘍縮小率 (面積比)は約60%であったのに対して,粘液癌では術前CRT後も粘液結節が残存することが多く,その縮小率は約5%であった.潰瘍境界から残存する癌までの水平距離は0-IIc型は平均4.1mm最大値17mm であり,2型は平均0.4mm最大4.0mmと0-IIc型の症例により遠位まで癌が残存していた.
【結語】局所進行直腸癌に対するCRTは,重篤な有害事象が少なく安全に施行できた.CRTは局所制御を行うのには有用であるが,長期予後の改善には他の治療法と併用することが必要と考えられた.CRTにより腫瘍縮小が期待できるが,一見治療効果の高い0-II c病変には切除断端までの十分な距離の確保が必要と考えられた.
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