演題

O2-94-15-3

下部進行直腸癌に対する術前化学放射線療法の有用性と問題点

[演者] 井上 雄志:1
[著者] 大木 岳志:1, 中川 了輔:1, 前田 文:1, 山本 雅一:1
1:東京女子医科大学病院 消化器外科

【はじめに】今回われわれは下部直腸癌に対する術前化学放射線療法(CRT)の治療成績について検討した.【方法】術前T3,T4またはDukes Cと診断した下部直腸癌に対しCRT(化学療法:UFT/UZEL;2週投薬2週休薬2週投薬,放射線療法:1.8Gy/回,25回)を行い,終了後8週間以降に効果判定後手術を施行している.最近8例はIMRT(Intensity Modulated Radiation Therapy)で施行した.側方リンパ節腫大例はCRTの効果にかかわらず腫大リンパ節側の側方リンパ節郭清を付加している.2008年4月から術前CRTを行った下部直腸癌61例の成績を検討してみた.【結果】3例副作用のために化学療法を中止したが放射線療法は全例に行い得た.61例中58例に切除術(開腹18例,腹腔鏡39例,経肛門的切除1例)を行った.心疾患併存1例は遺残した腺腫部のみ経肛門的腫瘍切除を行った(病理は腺腫).手術の同意が得られなかった4例中高齢および悪性リンパ腫併存例はPDで癌死,他の3例は平均35ヶ月局所CRを維持している (1例鼠径リンパ節再発でリンパ節のみ切除した).治療効果判定はCR6例,PR40例でCR+PR80%,PD例は1例であった(PD例は化学療法後TPEで切除し得た).組織学的治療効果判定は,Grade3は6例,Grade 2が32例,Grade2以上が62%であった.側方リンパ節郭清例のうち9例が転移陽性,2例は血管合併切除も行い,全例腹腔鏡下に切除し得た.術後合併症はGrade IIIを5例に認めたが縫合不全はなかった.局所再発は3例,遠隔転移再発は15例に認め,Grade3例にも1例肺転移を認めた.癌死は5例,5年生存率は90%であった.遠隔転移対策として2014年からcStageIIIa以上に術後FOLFOXを行っている(現在まで6例行い無再発生存中)【まとめ】CRTにより高い奏功率が得られ,腫瘍の縮小効果から根治度A切除が腹腔鏡下に行い得,局所再発も少なく,CRTの局所制御の有用性は示唆された.一方,遠隔転移再発例が多く,より有用な術後補助化学療法の確立が急務と思われ,さらなる検討を加えたい.
詳細検索