演題

遺伝子解析ツールによる結腸癌根治術後の再発予測

[演者] 沖 英次:1
[著者] 安藤 幸滋:1, 中西 良太:1, 杉山 雅彦:1, 中島 雄一郎:1, 工藤 健介:1, 久保 信英:1, 佐伯 浩司:1, 前原 喜彦:1
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学

結腸癌根治手術後の補助療法として,Stage IIIであれば,オキサリプラチンを含むレジメンであるmFOLFOX6やCapeOXの6ヶ月間の治療が現在の世界標準である.Stage IIの場合でも術前T4症例やイレウスを伴っていた症例など臨床的な高リスク因子がある場合には,Stage IIIの場合と同様に術後補助化学療法が考慮される場合が多い.しかし,末梢神経障害の副作用が必発とされるオキサリプラチンを使用した術後化学療法をStage III全症例に適応するのか,またStage IIの高リスク群とはどのような症例なのかを判断する正確な基準はなく,これまでは病理診断と各施設の判断で術後補助化学療法の適応が決定されてきた.最近,海外では結腸癌の再発リスクを予測するため,multi-gene assayを利用した複数の遺伝子解析ツールが開発され,臨床応用されつつある.これらは,複数の海外の臨床試験の結果を用いてvalidationが行われ,その有用性が証明されている.しかし,これら遺伝子解析ツールは本邦での使用を前提として開発されてきたものではないため,手術法の異なる日本でも海外と同様に予後予測が可能か否かは不明であった.ごく最近,multi-gene assay の1つであるOncotype DX®に関して,日本でのvalidation study (SUNRISE study)の結果が報告された.この試験は後ろ向きのコホート研究という方法で行われたが,世界ではじめて,術後化学療法を行っていないStage IIおよびStage IIIの患者のみを対象に本手法のvalidation解析が行われ,本邦の症例でも予後予測が正確に行えることが示された.現在同様な手法を用いて,同じく結腸癌術後予後予測のために国内で開発された別の遺伝子解析ツールである55-gene classifier® (55GC)のvalidation studyも本邦で進行中である.これら遺伝子解析ツールは,予後の悪いStage II症例,予後の良好なStage III症例を抽出することが可能であるため,結果的にオキサリプラチンによる末梢神経障害に苦しむ症例を減らすことができ,ひいては医療費の抑制や予後の向上に繋がる可能性もある.本邦でも,病理診断に加えてこれら遺伝子解析ツールを用いた術後再発予測を行うことの臨床的有用性は大きいと考えられる.
詳細検索