演題

O2-93-15-6

局所進行直腸癌に対する術前化学療法

[演者] 上原 圭介:1
[著者] 相場 利貞:1, 向井 俊貴:1, 冨田 明宏:1, 江畑 智希:1, 横山 幸浩:1, 伊神 剛:1, 菅原 元:1, 深谷 昌秀:1, 梛野 正人:1
1:名古屋大学大学院 腫瘍外科学

(背景)局所高度進行直腸癌(LARC)に対する本邦の標準治療は手術+術後補助化学療法であるが,その治療成績は満足いくものとは言い難い.RTを併用しない術前化学療法(NAC)の短期・長期治療成績から見た特徴を示す.(対象・方法)2009年にNACを導入した.レジメンはオキサリプラチンベースとし,期間は3か月,分子標的薬としてbevacizumab(BV)を症例に応じて追加している.(結果)当科での症例,また名古屋大学および関連病院で行った2つのPhase II試験の結果から,NAC症例の主な特徴について述べる.奏効率:全体のpCR率は10-15%とFU+RTと比較して遜色ない成績であったが,奏功例は全体の30-37%とCRTと比較して低いものであった.cT4bに対するNAC:NAC群(n=24)と非NAC群(n=8)を比較検討した.局所再発率は両群で差を認めなかったが,遠隔再発はNAC群で少ない傾向を認めた.R1切除例はNAC群に多く,予定術式を縮小したものに多く見られた.Bevの上乗せ効果:BV使用群(n=37)で非使用群(n=23)と比較し有意に高いORR (67.6% vs.34.8%, p=0.017)が得られたが,病理学的奏功率では有意差を認めなかった(35.1% vs. 34.8%).一方,Bev使用による縫合不全を含む合併症には十分な注意が必要である.画像診断による治療効果予測: NAC前後にMRI・FDG-PETを行った40例を対象とし,画像因子と病理学的奏功につき後ろ向きに検討した結果,16例(40%)が奏功例,24例(60%)が非奏功例.ROC解析でMRI T2画像のNAC後の腫瘍体積減少率(ΔMRI-TV)(AUC=0.853, p<0.001)が病理学的奏功例を予測する良い因子であった.CRT追加の指標に成りえると考えている.長期予後:NAC症例57例の検討では,病理学的奏功例で有意に予後は良かった.RAS /BRAF wild 症例の予後は極めて良好であったが,NACの効果予測因子ではなかった.RAS/BRAF変異型の病理学的非奏功例の予後は極めて不良である.(結語)LARCに対するNACの局所制御効果を期待しすぎるのは危険.効果予測と非奏功例への対応が今後の課題である.
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