演題

O2-93-15-3

下部直腸癌に対するTME+両側側方郭清+術後化学療法による治療戦略と成績

[演者] 大城 泰平:1
[著者] 小森 康司:1, 木下 敬史:1, 伊藤 誠二:1, 安部 哲也:1, 千田 嘉毅:1, 三澤 一成:1, 伊藤 友一:1, 植村 則久:1, 清水 泰博:1
1:愛知県がんセンター中央病院 消化器外科

【はじめに】
治療ガイドラインに沿った下部直腸癌治療は手術+側方郭清+補助化学療法である.一方で欧米では術前化学放射線療法(CRT)を標準治療としており,本邦でも先進施設において術前化学放射線療法(CRT)あるいは術前化学療法(NAC)が試みられている.当科ではTME+両側側方郭清(cT2以深)+術後化学療法を基本戦略としており, High-risk症例に対してオキサリプラチンレジメンによる補助療法を選択している.JCOG0212試験の結果が開示されるまで,多くの施設において側方郭清が遵守されているとは言い難い.また,オキサリプラチンレジメンによる補助療法効果についてもデータが不足している.当科の治療成績から問題点を考察する.
【対象】
2010年から2015年の期間に根治手術を施行したcStage I~III下部直腸癌239例のうち,術前化学療法20例を除く219例.
【結果】
術式はLAR 115例,ISR45例,APR49例,大腸全摘2例,骨盤内臓全摘術8例,134例に側方郭清を施行した.R0切除率は95%.pStageは 0 / I / II / IIIa / IIIb = 4 / 86 / 40 / 42 / 47 例で,pStage III 70例に対して補助療法が行われた.レジメンはXelodaあるいはUFT/UZELによる単剤治療が32例,CapeOXあるいはFOLFOXが38例であった.補助治療開始までの期間は中央値1.5か月でオキサリプラチンレジメンの補助療法完遂率は40%であった.観察期間中央値は3.4年,5年無再発生存率(DFS)は Stage 0 / I / II / IIIa / IIIb = 100 / 92 / 73 / 73 / 66 %,5年生存率(OS)は100 / 100 / 90 / 93 / 87 % であった.pStage II / IIIa症例では再発18例に対し8例で切除が行われ,生存予後は良好であった.pStage IIIb症例のうち,オキサリプラチンレジメンによる補助療法を行った34例では5年DFS 82%,5年OS 90%であった.
【考察】
病理診断から再発リスクを考慮して補助療法を選択する方針は過剰治療とその合併症を避けることができるため有用である.pStage 0~IIIa症例では現在の治療戦略で良好な結果が得られた.High-risk直腸癌(pStage IIIb)においても,TME+両側側方郭清+オキサリプラチンレジメンによる補助療法を行った患者の予後は良好であった.一方でpStage IIIb症例のうちR1切除5例,高度リンパ節転移(7個以上)17症例の予後は不良であった.術前画像よりR0切除困難症例や高度リンパ節転移症例を選別し,同症例に対する個別化治療が必要と考えている.
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