演題

O1-21-11-2

進行胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の治療成績 ~開腹手術と比較した術後短期成績の検討~

[演者] 久森 重夫:1
[著者] 小濵 和貴:1, 角田 茂:1, 稲本 将:1, 橋本 恭一:1, 高橋 亮:1, 吉冨 摩美:1, 肥田 侯矢:1, 河田 健二:1, 坂井 義治:1
1:京都大学大学院 消化管外科学

【背景】進行胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術は,開腹手術と比較して有用性を示す十分なエビデンスがなく,いまだ普及には至っていない.当科では,内視鏡技術認定医主導の下,進行胃癌に対してもD2リンパ節郭清術を伴う腹腔鏡下胃切除術を積極的に行っており,一部はphaseII 試験に登録し,術後短期成績の点からみた有用性を報告してきた(KUGC04).
【目的と方法】2005年6月~2015年7月の期間中,当科にてcStageII/IIIの進行胃癌と診断され,D2リンパ節郭清を伴う腹腔鏡下胃切除術を施行された220例(開腹(O群)59例,腹腔鏡(L群)161例)につき,患者背景,周術期情報,術後合併症発生率を後ろ向きに検討した.
【結果】患者背景に関して,男女比はO群44:15,L群114:47,年齢中央値はO群66.2歳,L群70.2歳,BMI中央値はO群22.1,L群22.4,進行度(cStageII/III)はO群37/22,L群80/81で,いずれも2群間で有意差は認めなかった(P=0.582,P=0202,P=0.612,P=0.086).術前化学療法施行例はO群9例(15.3%),L群61例(37.9%)とL群で有意に多かった(P=0.001).幽門側切除(幽門保存を含む)と胃全摘(残胃全摘,噴門側切除を含む)の割合は,O群25:34,L群95:66で,O群で優位に胃全摘症例が多く(P=0.028),胆嚢を除く他臓器合併切除は,O群14(23.7%),L群17(10.6%)で,有意にO群で多かった(P=0.013).
手術時間中央値はO群313.4分,L群368.1分とL群で有意に長く(P=0.002),術中出血量の中央値はO群586.7ml,L群98.7mlとL群で有意に少なかった(P<0.001).Clavien-Dindo分類Grade2以上の術後合併症はO群14例(23.7%),L群41例(25.5%)で有意差を認めず(p=0.792),多変量解析の結果でも,開腹・腹腔鏡のアプローチ法による術後合併症発生率に有意差は認めなかった(p=0.712, odds ratio [OR]=1.18; 95% confidence interval [95% CI]=0.75-1.57).術後在院日数中央値は,L群17.5日,O群21.7日と,L群で有意に短かった(P=0.022).
【まとめ】進行胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の治療成績は,術後短期成績としては開腹胃切除と比較し遜色ない結果であった.進行胃癌に対するD2リンパ節郭清を伴う腹腔鏡下胃切除術は,有用な治療選択肢となりうると考えられる.
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