演題

O3-113-6-3

胸腔鏡下食道切除症例におけるinflammatory response biomarkerの臨床的意義の解析

[演者] 平原 典幸:1
[著者] 藤井 雄介:1, 山本 徹:1, 百留 亮治:1, 平山 昴仙:1, 谷浦 隆仁:1, 石飛 一成:1, 田島 義証:1
1:島根大学医学部 消化器・総合外科学

目的:癌の予後予測に病理学的診断は必須であるが,近年,担癌患者における全身性炎症の影響も注目されている.今回,我々は食道癌根治切除患者の予後予測におけるlymphocyte-to-monocyte ratio(LMR),neutrophil-to-lymphocyte ratio(NLR),およびplatelet-to-lymphocyte ratio(PLR)の意義を検討した.
方法: 2006年から2015年に根治的胸腔鏡下食道切除術が施行された147例を対象に,術前のLMR,NLR,PLRと癌特異的生存率(cancer-specific survival:CSS)との関連を検討した.尚,各々のcut-off値はReceiver operating curve(ROC)分析を用いて決定した.
結果:LMR,NLR,PLRのcut-off値は各々4.0,1.6,147であった.
全患者を対象とした予後因子の検討では単変量解析でpTNM stage(p<0.0001),腫瘍径(p=0.0014),手術時間(p=0.0209),LMR(p=0.0008)とPLR(p=0.0232)が有意な因子であり,多変量解析でpTNM stage(p<0.0001)とLMR(p=0.0129)が独立予後因子として抽出された.また,Kaplan-Meierを用いてCSSを検討したところLMR低値群は高値群に比し有意に予後不良であり(p=0.0006),PLR高値群は低値群に比し有意に予後不良であった(p=0.0169).
70歳未満の非高齢者群と70歳以上の高齢者群に分けて同様の検討を行った.
非高齢者群では単変量解析でTNM pStage(p<0.0001),腫瘍径(p=0.0001),手術時間(p=0.0374),LMR(p<0.0001)とPLR(p=0.0189)が有意な予後因子であり,多変量解析でTNM pStage(p=0.001)とLMR(p=0.0007)が独立予後因子として抽出された.また,Kaplan-Meierを用いてCSSを検討したところLMR 低値群は高値群に比し有意に予後不良であり(p<0.0001),PLR高値群は低値群に比し有意に予後不良であった(p=0.0172).
一方,高齢者群では単変量解析でpTNM stage(p=0.0023)のみが有意な予後因子として抽出された.また,Kaplan-Meierを用いてCSSを検討したところLMR 低値群は高値群に比し有意に予後不良であり(p<0.0001),PLR高値群は低値群に比し有意に予後不良であった(p=0.0172).
pTNMの各々のstage別でLMR,NLR,PLRの単変量解析を行ったが有意差は認めなかったが,Kaplan-Meierを用いた検討ではstageⅢにおいてLMR低値群は高値群に比し有意に予後不良であった(p=0.004).
結語:LMRとPLRは日常診療において安価に簡便に測定できる客観的な予後の予測指標であった.また,術後補助療法の必要性を検討するうえでも臨床的意義が大いに期待できるマーカーとなる可能性が示唆された.
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