演題

O3-126-9-5

開腹膵切除におけるクラッシュ法による膵実質離断

[演者] 坂本 太郎:1
[著者] 鈴木 文武:1, 中瀬古 裕一:1, 高野 裕樹:1, 恩田 真二:1, 松本 倫典:1, 後町 武志:1, 脇山 茂樹:1, 石田 祐一:1, 矢永 勝彦:1
1:東京慈恵会医科大学附属病院 肝胆膵外科

【はじめに】膵離断法は自動縫合器を含め種々の報告があるが,未だ満足すべき方法は確立されていない.開腹尾側膵切除術(ODP)での膵瘻(ISGPF Grade B/C)発症率は10-30%と高く,その要因として,膵離断部がいわゆるsoft pancreasであることが多い事も原因と考えられる.クラッシュ法は肝実質離断において確立された手技であるが,soft pancreasであれば膵離断にも応用可能であり,分枝膵管を可及的に結紮処理出来るという点で膵漏発症率低下が期待できる.当科では最近,膵離断にクラッシュ法を導入し,良好な術後成績を得ているため,その手術をビデオで提示し,治療成績を報告する.
【手術手技】門脈トンネリング後,門脈右縁で膵離断ラインを電気メスでマーキングする.膵離断ラインの尾側で膵を集簇結紮し,尾側からの出血および癌細胞の漏出を予防する.術者と第一助手でtensionを加えながら,マイクロ用モスキート止血鉗子にて5mmを超えない長さで膵実質をクラッシュし,残った索状物は遺残側のみ5-0吸収糸で結紮して切離する.クラッシュの厚みに関しては,膵を"三枚におろす"イメージで行う.順次離断を進めると主膵管を確保出来るため,これを結紮+刺通結紮の二重結紮で閉鎖して切離する.断端のfish mouth形成は,基本的には行わない事としている.
【術後のドレーン管理】ドレーンには陰圧をかけず,全例で術後3日目以降に抜去した.一度でもドレーン交換を行ったものは,Grade Bとした.
【結果】2015年5月から2016年12月までに,18例(ODP:15,膵中央切除(CP):2,膵部分切除:1)に対して,クラッシュ法による膵離断を行った.ODPおよびCPにおける主膵管の同定率は100%で,膵離断に要する時間は平均18分間,離断中の出血量はごく少量であった.術後の膵液漏発症は,ISGPF Grade A:1例(5.6%),B:4例(22.2%),C:0例(0%)であった.
【結語】膵液漏Grade Bの発症率は22%と未だ改善の余地があるものの,72%の症例で膵液漏を認めなかった.Soft pancreasであれば,クラッシュ法による膵離断は術後膵液瘻発症率を低下させる可能性がある.
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