演題

O3-126-9-4

尾側膵切除術における膵液瘻発生予防を目指した膵切離法とドレーン管理

[演者] 伊地知 徹也:1
[著者] 蔵原 弘:1, 前村 公成:1, 又木 雄弘:1, 迫田 雅彦:1, 飯野 聡:1, 川崎 洋太:1, 橋口 真征:1, 新地 洋之:2, 夏越 祥次:1
1:鹿児島大学大学院 消化器・乳腺甲状腺外科学, 2:鹿児島大学大学院 保健学科

背景:腹腔鏡手術の普及に伴い,尾側膵切除における膵切離法は主膵管結紮法からstaplerへと変化してきた.当科では2006年からbare stapler,2012年からreinforced staplerを使用して膵液瘻防止における有用性を報告してきた.また術後ドレーン管理も膵液瘻重症化防止に重要な役割を有する.2012年からはドレーンアミラーゼ値および術後SIRSをドレーン早期抜去の基準とした.
方法:2000年から2016年9月に当科にて尾側膵切除術を施行した119症例を対象として,膵切離法およびドレーン管理と術後膵液瘻との関連を検討した.主膵管結紮群(L群),bare stapler群(S群),reinforced stapler群(R群)はそれぞれ33,40,46症例であった.R群ではドレーン早期抜去が適応されていた.
結果:1)全症例のgrade A膵液瘻は34例(28.6%),grade B膵液瘻は11例(9.2%)であった.L群,S群,R群の3群間で切離部分の膵の厚さは同等であった.2)L群とS群とでは膵液瘻発生率は同等であった.3)R群ではS群と比較して術後3日目のドレーンアミラーゼ値は低く(225 IU/L vs 127 IU/L,P=0.075),術後SIRS症例が少ない傾向(47.5% vs 26.1%,P=0.066)であった.更に,R群ではgrade B膵液瘻発生は有意に低率(15% vs 2.2%,P=0.046)で,ドレーン抜去は有意に早期(7日 vs 4日,P<0.001)であり,術後在院日数は有意に短縮(14.5日 vs 10日,P<0.001)していた.4)R群ではS群と比較して術後1週間目のCRPは有意に低値であり(6.23 mg/dL vs 3.36 mg/dL,P=0.001),CT評価での腹腔内液体貯留はより限局的である傾向であった.
考察: Reinforced staplerはbare staplerと比較して膵切離断端からの膵液漏出を減少させ,術後炎症状態を軽減させると考えられる.更に,reinforced staplerにドレーンの早期抜去を組み合わせることで,術後の腹腔内液体貯留が限局的になり,grade B膵液瘻発生を減少させると考えられる.
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