演題

O3-126-9-3

尾側膵切除術における膵断端処理法 -- Stapler法の功罪--

[演者] 安永 昌史:1
[著者] 室屋 大輔:1, 名嘉眞 陽平:1, 酒井 久宗:1, 川原 隆一:1, 石川 博人:1, 久下 亨:1, 田中 啓之:2, 赤木 由人:1, 奥田 康司:1
1:久留米大学医学部 肝・胆・膵外科, 2:久留米大学医学部 心臓・血管外科

【目的】尾側膵切除における膵断端処理法はいまだ議論が多く,標準化された術式がないのが現状である.今回,当科における尾側膵切除術(DP)症例の背景因子,術式,膵液瘻などの合併症を膵離断法別(Hand sewn法vs Stapler法)に検討した.
【方法】2008年1月から2016年11月までの当院における膵体尾部切除術が施行された84例をretrospectiveに検討を行った.Hand sewn法では膵実質は電気メスにて離断し,とくに膵管はメスにて鋭的に切離した.主膵管を結紮し膵断端閉鎖は1層あるいは2層にてマットレス縫合行った.Stapler法では膵離断の前にPre compressionとして10分間腸鉗子にて圧挫行った後,自動吻合器でさらに10分間かけて膵離断施行.
【結果】男女比45:39,平均年齢64.5歳,術式の内訳は,膵体尾部切除術が76例,脾温存膵体尾部切除術が5例,腹腔動脈合併膵体尾部切除 3例であった.膵実質硬度はSoft 52例,Hard 32例で,膵切離法はStapler群48例で,Hand sewn群36例であった.合併症において膵液瘻の頻度は,(-):35例,GradeA:24例,GradeB:22例,GradeC:3例であった.Stapler群はHand sewn群に比べSoft panc.でより多く選択されていたため,ISGPFのGradeB以上を膵液瘻(+)群とし,Stapler群に限って膵液瘻(+)群と(-)群の背景因子を検討すると,膵液瘻発生群はPFD値が高い症例が多く,手術時間が有意に長かった.出血量も膵液瘻群に多い傾向にあり,また膵実質硬度において膵液瘻群にHard panc.が多い傾向にあった.
【結語】当科における尾側膵切除症例において,Hand sewn群とStapler群の手術時間や出血量に有意差はなく,簡便かつ操作性単純なStapler法の安全性は示唆された.しかしStapler法はSoft panc.よりHard panc.で膵液瘻発生頻度が高い傾向にあり,今後はHard panc.症例に対するさらなるStapler手技の改善や適応の検討が必要と思われる.
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