演題

O2-77-12-5

ドナー肝切除において肝離断後にグリソン内より再建脈管を剥離する影響

[演者] 高原 武志:1
[著者] 新田 浩幸:1, 長谷川 康:1, 片桐 弘勝:1, 真壁 健二:1, 秋山 有史:1, 岩谷 岳:1, 大塚 幸喜:1, 肥田 圭介:1, 佐々木 章:1
1:岩手医科大学医学部 外科学

肝臓外科・移植外科・内視鏡外科これら3領域を経験することで,当教室でのドナー肝切除の手術手技が洗練されてきたので,その手術手技の供覧とドナー・レシピエントの短期成績について報告する.2007年より肝移植プログラムを開始し,2016年12月までに生体肝移植73例,脳死肝移植8例(1例肝腎同時移植)施行した.

(手術手技)
胆摘施行後に,予定グラフト側のグリソンを肝外で一括に確保する.グラフト側の肝周囲支持間膜を切離し,グラフト側を授動する.Hanging manueverを施行後に,肝表面のdemarcation lineとMHVを露出するlineで肝離断を施行する.右葉グラフトの場合には,残存肝とIVCに,グリソン,右肝静脈,再建予定の副肝静脈のみでつながっている状態まで肝離断を遂行する.胆道造影を施行し,グリソンの切離lineを確認する.レシピエントの肝全摘に合わせて,グラフトグリソン内よりその切離ラインで,門脈・肝動脈をこの順にそれぞれ露出し,胆管を引き算にて確保する.

(結果)
この方法でのドナー肝切除を直近連続して5例施行した.右葉グラフト4例,後区域グラフト1例であった.5例中3例で副肝静脈の再建を要し,胆管はすべて2穴で,3例に胆管胆管吻合,2例に胆管空腸吻合を施行した.手術創は,すべて上腹部12cmで,ドナーの平均手術時間:286分,出血量:166.6 cc,在院日数:12.2日であり,Clavien-dindo II以上の合併症は1例も認めなかった.また,レシピエントの胆管合併症・肝動脈合併症は1例も認めず,短期成績は良好であった.

(考察)
この術式は,グラフト側のグリソンを安全に確保することで,ドナー側の術後胆汁漏の軽減につながると思われた.さらにグリソン内での肝動脈剥離や胆管剥離を最後にすることで再建時にそれぞれ,良好なqualityを確保でき,特に肝動脈のスパスム予防につながると思われた.
今回,ドナー肝切除の手術手技とレシピエント肝動脈・胆道再建の手術手技をビデオにて供覧する.
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