演題

O2-77-12-3

右葉グラフトを用いた生体肝移植手術における静脈吻合の工夫

[演者] 小寺 由人:1
[著者] 江川 裕人:1, 山下 信吾:1, 根本 慧:1, 大森 亜紀子:1, 高橋 豊:1, 片桐 聡:1, 有泉 俊一:1, 山本 雅一:1
1:東京女子医科大学医学部 消化器外科学

(はじめに)教室では2011年より右葉グラフトを用いた生体肝移植手術を導入し,2016年12月までに30例の右葉グラフトを用いた生体肝移植手術を施行した.肝静脈再建は原則,右肝静脈前壁にレシピエント門脈グラフトを用いた静脈パッチを付加し再建している.しかしドナー肝の解剖学的特性から,V5やV8といった前区域領域が中肝静脈からドレナージされており,時に広範囲に及ぶことがある.V8領域に対しては可能な限り右肝静脈と一穴化を行い静脈パッチ付加にて再建しているが,V5領域と同様にその位置関係から一穴化が困難な症例がある.これら一穴化困難な症例に対し,これまで個別に下大静脈に吻合を施行してきたが,今年からレシピエント門脈を右は前後分岐後から門脈臍部に至るまで広範囲に採取する事で,静脈パッチと一体化した吻合を施行し良好な成績を上げているので報告する.(手術手技)①レシピエント肝摘出後バックテーブルにおいて門脈を前区域枝,後区域枝を可能な限り末梢で切除,門脈左枝においても同様に可能な限り末梢で切除し門脈を採取する.②前・後区域枝の分岐部を利用し静脈パッチ部とする.③前区域枝断端にV8を吻合,後区域枝断端にV5を吻合する.V5,V8を吻合する際はその開口部に合わせて門脈左枝を間置し吻合する.④移植肝のput-in後,開口部を広げたレシピエント右肝静脈と一穴にて吻合する(結果)教室で施行の右葉グラフト使用の生体肝移植術30例において22例は静脈パッチ単独,4例はV5個別再建,4例が本法で再建した.平均手術時間,全肝における右肝静脈流域の割合(%)は,静脈パッチ群,個別再建群,本法でそれぞれ42.2%・665.8分,38.2%・763.2分,41.7%,753.7分であった.術後の合併症としてout flow blockの症例は認めなかったが,個別吻合群の2例にV5再建静脈の閉塞を認めた.(考察)今回の検討では,バックテーブルにおける再建に若干の再建時間延長をみとめたが,バックテーブルで再建が行う事ができ良好な術野で再建する事によって術後の再建静脈閉塞を認め無かったと考えられる.またput-in後も通常の静脈パッチ付加の右肝静脈再建の手技のみで完結する事ができ,容易に再建できたと考えられた.(結語)本法は,静脈再建において新たな手技となり得ると考えられた.
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