演題

O2-70-9-6

内肛門括約筋間直腸切除術における腹腔鏡下と経肛門的操作および経肛門的TMEへの発展

[演者] 福長 洋介:1
[著者] 上野 雅資:1, 長山 聡:1, 藤本 佳也:1, 小西 毅:1, 秋吉 高志:1, 長嵜 寿矢:1, 小倉 淳司:1, 日吉 幸晴:1, 三城 弥範:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景と目的】近年欧米では下部直腸癌手術における経肛門的直腸間膜全切除(TA-TME)が注目されている.われわれは内肛門括約筋間直腸切除術(ISR)においては腹腔鏡下直腸間膜全切除(Lap-TME)を基本とするが,肛門管解剖の理解を深めて精緻な手術を行う目的に経肛門操作(TAMIS)も併用している.さらに高度肥満症例や腹腔鏡操作に制限のかかる症例におけるTA-TMEの応用も取り入れる.今回,ISRにおける腹腔鏡とTAMISの融合からTA-TMEへの発展をビデオで供覧する.
【手技】背側,両側でS4仙骨枝を超えて挙筋上腔に至る.側方から前方は骨盤神経叢から神経血管束に沿って直腸間膜を切除する.前立腺下縁近くの恥骨直腸筋繊維が直腸壁に移行する部位で,疎な間隙から内外括約筋間に入る.前方では前立腺下縁より低位の直腸尿道筋,会陰体を確認することは困難である.両側後から恥骨尾骨筋,恥骨直腸筋を直腸から剥離して,さらに尾骨直腸靭帯を切離し内外括約筋間に全周で入る.経肛門操作では,腫瘍から距離を取って歯状線レベルで内肛門括約筋を切離する.左右背側で横紋筋である外肛門括約筋を確認してその内側で内外括約筋間の層に至る.全周に内肛門括約筋を切離後,直腸内腔を閉鎖し十分に洗浄したのちに単孔式手術のプラットフォームを装着する.両側方で腹腔鏡ガイド下に腹腔内に層を連続させる.両側から前方に向けて外肛門括約筋を外にみながら切開を行い,前立腺背側を確認しながら神経血管束に沿って切離を正中に収束させていく.左右両側前方に尿道との間に存在する直腸尿道筋を切離し,最終的に前立腺下縁正中の線維性結合織となり,これを切離して全周に直腸肛門管の剥離が終了する.さらに腹腔鏡操作で肛門管周囲までの剥離が困難な症例では,左右の外肛門括約筋をみながら肛門管上縁に至り,背側で尾骨直腸靭帯を切離,TMEを腹腔側に進めて腹腔内と連続させる.
【まとめ】多くの日本人のISRにおいては,腹腔鏡での操作で十分に肛門管周囲までの剥離が可能で,TAMISを併用することで肛門管内の解剖が理解でき精緻な手術が可能である.しかし一部の腹腔鏡操作が困難な症例ではTA-TMEの利点が得られる可能性がある.
詳細検索