演題

O2-70-9-4

Intersphincteric resectionに対するup to bottom 手術の利点

[演者] 濱田 円:1
[著者] 住山 房央:1, 小林 寿範:1, 稲田 涼:1, 大石 賢玄:1, 繁光 薫:1
1:関西医科大学附属病院 消化管外科

【目的】下部直腸癌に対する腹腔鏡下 Intersphincteric resection(LAP ISR)のup to bottom手術とtrans anal TME(bottom up手術)の妥当性について,外科解剖学的見地から検討した.【方法】1) up to bottom手術のTME剥離は, 骨盤底および側方に向かって幅が狭くなるmesorectal fasciaとretro peritoneal fascia間の疎性結合組織を剥離する.側面では骨盤神経叢から直腸壁に向かう自律神経を含む筋膜を,泌尿生殖器に向かう筋膜を温存しつつ骨盤神経叢に沿って切離すれば,endopelvic fasciaに覆われた肛門挙筋の表面を肛門管上縁にまでたどることができる.肛門管上縁では後壁正中のanococcygeal ligamentが直腸縦走筋に癒合する両外側から,恥骨尾骨筋,腸骨尾骨筋を直腸壁から可及的に剥離した後,切離すれば直腸壁,肛門挙筋共に損傷するriskは少ない.肛門挙筋と直腸縦走筋との接合幅は後面で薄く,側方-前側方で厚いことを認識しつつ括約筋間を剥離する.左右側面から前側面へと直腸に向かう筋膜を切離すればデノビ筋膜の腹側,背側いずれの剥離でもその切離幅は最小化される.肛門操作では歯状線レベルで内外括約筋間に容易に剥離層を求めるられる.後側面から前壁側に剥離を進め左右から挟み込むようにrectourethral muscle を含む結合組織を切離する.2) bottom up手術では,内外括約筋間剥離に連続して,骨盤内にさらに進めるためendopelvic fasciaをテント状に見上げる視野になる.骨盤神経叢の外側に入る前に同fasciaを切離してTME剥離層に入る必要があるが,肛門挙筋が部分的にendopelvic fasciaから剥離され神経枝損傷のriskが生じる.また,直腸枝を含む筋膜はmesorectal fascia に近接した剥離操作になり,骨盤神経叢からみて逆剥けの切離ラインを設定しなければならずmesorectal fasciaの損傷も危惧される.【結果】我々は2009年1月より2016年11月までにLAP ISR による直腸癌根治術を32例に経験した.bottom up手術は7例に施行したが,1例に自己導尿を要する神経因性膀胱を来たし,直腸壁損傷を2例に来した.一方up to bottom手術25例では自己導尿を要する神経因性膀胱も,直腸壁損傷も見られなかった.【結論】腫瘍肛門側直腸閉鎖部位からの消化液の漏出も最小化するup to bottom LAP ISR手技は,解剖学的にも腫瘍学的見地からも合理的と考えられる.
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