演題

O2-70-9-3

下部直腸癌に対するTransanal TMEにおけるholy plane剥離の工夫

[演者] 盛 真一郎:1
[著者] 喜多 芳昭:1, 馬場 研二:1, 柳 政行:1, 田辺 寛:1, 上之園 芳一:1, 内門 泰斗:1, 迫田 雅彦:1, 前村 公成:1, 夏越 祥次:1
1:鹿児島大学病院 消化器外科

【背景】Transanal total mesorectal excision(TaTME)は,肛門側から腹腔側に直腸を受動する新しい術式で,腫瘍学的な安全性,有用性の検証が始まっている.本術式は,手術時間の短縮,TMEの質改善,circumferential resection margin(CRM)の改善に寄与することが報告されているが,安全に施行するためには,手技とチームの習熟が必要である.当院では2014年11月よりTaTMEを導入し,2015年9月よりTwo team approachにてTaTMEを行ってきた.今回,肛門温存手術(ISR)に対するTaTMEにおけるholy plane剥離の工夫と短期成績を検討した.【対象と方法】対象は,2014年11月から2016年10月にTaTMEを施行した35例中,ISRを行った下部直腸癌の10例(平均年齢:60歳,BMI:22.7 kg/m2).holy plane剥離の手術手技と安全性について検討した.【手術手技】肛門操作:ロンスターリトラクターにて肛門を展開し,腫瘍を確認し,直腸粘膜を縫縮する.洗浄後に直腸を全周性に切離し,肛門挙筋を確認する.GelPOINT Pathを装着し,エアシール(15mmHg)にて送気しTMEを開始する.右側の剥離は,7-8時から開始し,時計回りに11時まで行い,左側の剥離は4-5時から開始し反時計回りに1時まで行う.次に6時のrectococcygeal muscleを切離し,11-1時のrectourethral muscleを切離し,holy planeに侵入する.側壁は,前壁と後壁の剥離後に適度なテンションをかけることで,神経血管束と直腸との間のholy planeを視認することができ,血管に注意しながら剥離を進めていく.その際,前壁,後壁,側壁と全周性かつ均等に剥離を進めていくことが肝要である.後壁は骨盤神経叢を確認し,仙骨前面まで,前壁と側壁は,デノンビリエ筋膜を温存するように腹膜反転部まで剥離する.腹腔操作:内側アプローチを行い,IMAは根部で切離し,IMVは膵下縁で切離し,脾曲部を遊離する.直腸側の剥離は,後壁から行い,中部直腸周囲で,肛門操作と協力し,後壁,前壁,側壁とコネクションさせる.【結果】TME時間は155分(110-186分),出血量は97mlで,術中合併症はなかった.全例でTME grade3 (complete)およびCRM negativeであった.術後合併症は2例(イレウス1例,深部感染症1例)で術後在院期間は12日であった.【結語】下部直腸癌に対するTaTMEにおけるholy plane剥離は,前壁,後壁,側壁と全周性かつ均等に剥離を進めて行くことが肝要で,安全性の向上に寄与する可能性がある.
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