演題

O2-74-11-3

当院における腹腔鏡下噴門側胃切除術(観音開き法再建)の定型化

[演者] 堀田 龍一:1
[著者] 田邊 和照:1, 竹原 寛樹:1, 佐伯 吉弘:1, 山本 悠司:1, 柳川 泉一郎:1, 大段 秀樹:1
1:広島大学大学院 消化器・移植外科学

はじめに:胃上部に存在する早期胃癌で1/2以上の胃の温存が可能な症例は,噴門側切除術の良い適応であるが,再建法については未だ議論すべき点は多い.当院では術後の逆流性食道炎克服を目指し2015年3月より腹腔鏡下観音開き法再建を選択している.
方法:2015年3月から2016年11月までに施行した腹腔鏡下噴門側胃切除術症例を対象とした.再建は,完全腹腔鏡下で観音開き法にて行った.フラップ(2.5x3.5㎝)は大弯寄りの前壁に直視下で作成した.後壁は4-0 Barbed sutureで1層連続,前壁は,Layer to Layerで2層連続,フラップの縫着は結節縫合で行った.同術式のfeasibilityと術後の逆流症状,栄養状態,QOLの評価を行った.また,当院における観音開き法再建の実際,工夫をビデオにて供覧する.
結果:14例に本術式を施行した.郭清は全例D1+郭清を行った.症例の内訳は男/女:11/3,平均年齢:69.7歳,手術時間中央値:399分(338-525),出血量中央値:97ml(10-560)であった.14例中3例は3D内視鏡を用い手術施行した.食道残胃吻合の平均時間は,通常内視鏡群で114.2分,3D内視鏡群で93.3分と有意に短縮した(p=0.03).特に後壁連続縫合開始からFlap縫着終了までの所要時間が通常内視鏡:3D内視鏡=71.6分/49.0分と著明に短縮していた(p=0.003).術後合併症(Clavien-Dindo≧Grade3)は縫合不全:1例 (7%),狭窄:2例(14%)に認めた.縫合不全の1例は,腫瘍が切除断端に近く追加切除が必要となった症例で,残胃が小さく吻合部に緊張がかかってしまった症例であった.また,狭窄のうち1例は縫合不全に引き続いて起こった.術後1年目の上部消化管で逆流性食道炎(LA分類:GradeA)を1例に認めたが,PPI投与にてコントロール良好であった.その他の症例では逆流性食道炎は認めていない.術後6か月でのPGSAS-37食道逆流スコア(1.8±1.1)は,これまで当科で行っていたOverlap法+Dorr fundplicationで再建した症例(2.1±0.9)や同時期に施行した胃全摘症例(2.1±1.1)と比較し,有意差は認めなかったが低い傾向にあり自覚症状としても食道逆流を抑えることができていた.また,体重減少率も胃全摘術と比べ,有意に低かった(7.9%±6.0 vs 14.6%±5.1) (p<0.05) .
結論:腹腔鏡下観音開き法再建は,強力な逆流防止機構により,逆流性食道炎の発症を減少させ,術後のQOL改善につながる.経験症例数はまだ少ないものの,3D内視鏡は,縫合手技を多用する本術式に有用である可能性が考えられた.
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