演題

O2-55-6-1

腹臥位胸腔鏡下食道切除術における上縦隔リンパ節郭清

[演者] 角田 茂:1
[著者] 小濵 和貴:1, 久森 重夫:1, 稲本 将:1, 西村 公男:1, 橋本 恭一:1, 肥田 侯矢:1, 河田 健二:1, 坂井 義治:1
1:京都大学大学院 消化管外科学

【背景】当科では2009年に腹臥位胸腔鏡下食道手術を導入し,これまで180例を経験してきた.近年では,3D内視鏡による拡大視効果の下で縦隔の立体的な外科微細解剖の理解に努め,上縦隔における気管・食道・反回神経を取り囲む疎性結合組織であるいわゆる臓器鞘に着目している.
【目的】臓器鞘コンセプトに基づく上縦隔郭清手技と成績を示す.
【手術手技】腹臥位でスパイラルチューブを用いた両肺換気・人工気胸下に手術を行う.気管・食道はこれらを包む臓器鞘により,背側の胸管と明瞭に区別されるため,胸管は直接浸潤が疑われない限り原則温存し泡状の疎性結合組織間隙で剥離を行う.郭清の要点は,気管食道動脈の先行切離を伴う臓器鞘に沿った気管食道の授動に続く,反回神経の鋭的剥離による臓器鞘外側への温存と考えている.左側から臓器鞘へと流入する左鎖骨下動脈方向からの気管食道動脈は基本的に反回神経の背側を通るのでこれを一つ一つ切離しながら,臓器鞘に沿って剥離し,食道・気管の授動を行う.臓器鞘に沿った左側の剥離を十分頭側まで行った後,右反回神経周囲郭清を開始する.右鎖骨下動脈は左側より短いものの左側同様に反回神経の背側を通る気管食道動脈を出しているので,気管食道動脈を縦隔胸膜とともに切離することで右鎖骨下動脈と気管・食道との間が広く展開される.交感神経心臓枝を温存するよう疎性結合組織間隙を剥離すると,光沢のある臓器鞘越しに右反回神経が視認されるので神経直上で臓器鞘を切開しこれを外側に鋭的剥離で温存する.その後食道を切離し,さらに交感神経心臓枝を患者左側に温存しながら臓器鞘に沿った左側の剥離を可及的腹側まで行った後,右側同様鋭的剥離にて左反回神経を患者左側へと温存し,腹側の郭清境界を決めながら切離を行うと,郭清組織は結合組織に覆われ間膜状に郭清され,口側食道に付着するので,頚部操作にて摘出する.
【結果】手術時間546分,出血量75g,胸部郭清リンパ節個数28個(いずれも中央値)で,術後全反回神経麻痺は28%であった.
【まとめ】左右反回神経周囲リンパ節郭清は,左右とも同様に気管食道動脈の先行切離を伴う臓器鞘での授動と反回神経の臓器鞘の外側への鋭的剥離・温存が要点と考える.
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