演題

O2-55-6-4

胸腔鏡下食道切除術における術後反回神経麻痺の予防を目的としたEnergy-less上縦隔リンパ節郭清術の有用性

[演者] 佐伯 浩司:1
[著者] 中島 雄一郎:1, 田尻 裕匡:1, 工藤 健介:1, 堤 亮介:1, 中西 良太:1, 藏重 淳二:1, 杉山 雅彦:1, 沖 英次:1, 前原 喜彦:1
1:九州大学大学院 消化器・総合外科学

【背景】食道癌に対する胸腔鏡下食道切除術においては,術後の反回神経麻痺発生率が高いとの報告があり,反回神経リンパ節郭清の際には手技の工夫が求められる.
【目的】当科で施行している,腹臥位胸腔鏡下食道切除術におけるEnergy-less反回神経リンパ節郭清術の有用性を明らかにする.
【対象・術式】当科では2014年4月より,胸部食道癌に対して,スパイラルチューブを用いた両肺換気,人工気胸併用による腹臥位胸腔鏡下食道切除術を導入した.操作ポートは第3・5・7肋間中腋窩線,第7肋間肩甲骨下,カメラポートは第9肋間後腋窩線の合計5ポートにて手術を行う.操作手順としては,まず食道背側の胸膜を剥離し,中・下縦隔,右反回神経,左反回神経リンパ節の順に郭清を行う.反回神経リンパ節郭清の際には,エネルギーデバイスは使用しない.食道を気管分岐部近傍と上縦隔レベルでテーピングし,背側に牽引しながら視野を展開する.導入前期は,反回神経リンパ節郭清を行う際,神経近傍における操作はハサミによる鋭的剥離を基本とした(前期群:n=25).2015年11月からは,神経近傍の小血管切離に際しては,出血予防を目的に4mmの体内用結紮小クリップ(チャレンジャーTiクリップ®)を使用するようにした(後期群:n=39).前期群と後期群の術後成績を比較検討した.
【結果】症例の内訳は,平均年齢64歳(38-82歳),男性57例,女性7例,病変部位はUt:10例,Mt:31例,Lt:19例,Ae:4例,臨床病期はcStage0,I:26例,cStageII:18例,cStageIII:19例,cStageIV:1例であった.術前無治療:31例,術前化学療法施行:25例,術前化学放射線療法施行:8例であった.両群間で,年齢,性別,病変部位,cStage,術前治療の有無,胸腔鏡操作手術時間・出血量に差を認めなかった.術後肺合併症(前期群12% vs 後期群3%),縫合不全(前期群8% vs 後期群0%)発生率に両群間で差を認めなかったが,反回神経麻痺は後期群で有意に少なく(前期群24% vs 後期群5%, P<0.05),術後在院日数も短縮された(前期群中央値27日 vs 後期群19日, P<0.05).
【まとめ】反回神経リンパ節郭清操作では,通電をなるべく避けると同時に術野をdryに保つ技術が要求される.小クリップを用いた腹臥位胸腔鏡下食道切除術におけるEnergy-less反回神経リンパ節郭清術は,術後反回神経麻痺の予防,延いては術後在院日数の短縮に寄与すると考えられた.
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