演題

O2-55-6-2

安定した術野確保のための右肺圧排固定器具の開発と胸腔鏡拡大画像に基づく左側臥位縦隔リンパ節郭清手技

[演者] 安田 卓司:1
[著者] 白石 治:1, 岩間 密:1, 加藤 寛章:1, 平木 羊子:1, 安田 篤:1, 新海 政幸:1, 今野 元博:1, 木村 豊:1, 今本 治彦:2
1:近畿大学医学部 上部消化管, 2:近畿大学医学部 内視鏡外科

食道癌手術におけるリンパ節(LN)郭清の精度は根治性と安全性に大きく影響する.本発表では精度の向上のための我々の工夫を紹介する.
食道切除術式
<体位>左側上縦隔の視野や食道前面の左主気管支や心嚢浸潤時および緊急時の対応を考慮すると基本は「左側臥位」と考える.
<術野確保>左側臥位で安定した良好な術野確保のため,我々は術中の右肺圧排固定器具を開発(特願2016-145068).まだ手作りの段階で,現在商品化検討中.術中右肺の排除は全く不要.
<アプローチ法>右第IV肋間10cm小開胸創からcT4やSalvage手術を含めて全て施行.手技は同肋間背側より挿入した胸腔鏡の拡大画像のみを頼りに施行.肺圧排器具の商品化後,開胸創を縮小し胸腔鏡手技へ移行予定.
<特殊機器>把持鉗子はGeister ValveGateTM Pro,深部結紮器(型番),直腸膣鈎(術野展開用),気管牽引鈎(独自作成),28cm Metzenbaum.その他はSurgclipTM II,Ligaclip M/L.
<デバイス>Bipolar scissors BP-360.刃先を極小さく開いて凝固切開または瘢痕組織を蒸散して術野展開.VallylabTM FT10と相性がよく,止血も良好で切開も速やか.
縦隔LN郭清手技のポイント106recR食道と気管膜様部および右側壁との癒合の剥離をできるだけ頭側まで先行.授動性の向上と郭清組織の二次元化を図ることで右反回神経を含む脂肪組織を101R LNと共に縦隔に引き下ろし,Metzenbaumで郭清する.106recLツッペル鉗子で気管膜様部を展開し,気管左側壁から脂肪組織を剥離.気管鈎で気管を右前方へ,第VII肋間より挿入したEndograsp鉗子で上部食道のテープを右背側に牽引し,郭清で生じた食道と左鎖骨下動脈壁との間の膜全体を牽引しつつ左反回神経のみを郭清領域から排除して脂肪織をMetzenbaumで郭清.<気管分岐部>心臓背面で食道を左迷走神経の線維束ごと牽引.浸潤(-)なら左右の迷走神経肺枝を確認温存.まずLN群を心嚢面から剥離して二次元化し,分岐部軟骨輪沿いにBipolar scissorsで郭清.112PUL,109Lは食道背側から郭清し,左気管支動脈も確実に温存する.
成績】2009年~2013年の胸部食道癌R0切除311例中,領域内再発は16例(5.1%).術後出血,気道壊死・穿孔例なし.
結語】左側臥位での新規肺圧排器具による術野確保と胸腔鏡拡大視野下での温存臓器面の剥離先行による郭清組織の二次元化と鋭的な切離によるLN郭清手技は根治性と安全性の確保に有用と考える.
詳細検索