演題

O2-56-6-4

術前分枝鎖アミノ酸飲料が膵頭十二指腸切除後の代謝に与える影響

[演者] 南野 佳英:1
[著者] 外山 博近:1, 浅利 貞毅:1, 後藤 直大:1, 寺井 祥雄:1, 田中 基文:1, 木戸 正浩:1, 味木 徹夫:1, 福本 巧:1, 具 英成:1
1:神戸大学大学院 肝胆膵外科学

【背景】侵襲時には筋で分枝鎖アミノ酸(BCAA)が消費される.分枝鎖アミノ酸を含むアミノ酸飲料の運動前使用が運動後の代謝改善に寄与するという報告があるが,手術侵襲と術後回復に関する報告は少ない.今回われわれは消化器外科領域の中でも高い侵襲を伴う膵頭十二指腸切除術に注目し,分枝鎖アミノ酸を含むアミノ酸飲料が,術後の嫌気代謝(乳酸値),エネルギー代謝(血糖値),筋逸脱酵素(CPK,LDH)に与える影響について,後方視的に検討した.
【方法】当院では,手術前絶食期間短縮の為に,食事を手術前日夜まで,飲水を手術2時間前まで許可している.上記に加え,2010年11月より必須アミノ酸補給を目的として,手術当日朝手術2時間前までアミノ酸飲料(アミノバリュー®,大塚製薬)500 mlの内服を開始した.2008年1月から2014年12月に膵頭十二指腸切除術を施行した患者について,アミノ酸飲料非内服群(主に2008年1月から2011年11月:n = 113)と,内服群(2010年11月以降:n = 123)で手術直後の代謝状態に与える影響を後方視的に検討した.検討項目は,術後ICU 入室直後の体温,血糖値,乳酸値,並びに術後CPK,LDH値で,患者背景(年齢,性別,BMI,術前糖尿病の有無,悪性疾患か良性疾患か),手術因子(手術時間,出血量,術中輸血の有無,手術終了時のヘモグロビン値)の影響を考慮した.
【結果】アミノ酸飲料非内服群,内服群間で患者背景に差はなかった.手術因子では,内服群では手術時間が短く(p = 0.010),出血量が少なく(p < 0.001),輸血施行割合が少なかった(p = 0.046).検討項目のうち,乳酸値(3.1 ± 0.13 vs 2.6 ± 0.12 mmol/L, p = 0.006)に有意差を認めたが,術後体温,血糖値,CPK値,LDH値に優位な差を認めなかった.多変量解析を用いて手術時間,出血量,輸血の有無で補正を行ったが,乳酸値はアミノ酸飲料内服群で有意に低かった(p = 0.033).
【結語】アミノ酸飲料は,膵頭十二指腸切除術直後の乳酸値を有意に減少させた.手術侵襲時においても,術前アミノ酸飲料は嫌気代謝を抑制し,代謝改善に寄与する可能性が示唆された.
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