演題

O2-56-6-3

膵頭十二指腸切除術後におけるW-EDチューブを用いた早期経腸栄養管理の効果

[演者] 佐野 達:1
[著者] 大島 剛:1, 郡司 崇裕:1, 小澤 陽介:1, 沖原 正章:1, 富田 晃一:1, 千葉 斉一:1, 河地 茂行:1
1:東京医科大学八王子医療センター 消化器外科・移植外科

【背景】近年,膵頭十二指腸切除術(Pancreatoduodenectomy; PD)の術後管理における早期経腸栄養の有用性が報告されている.早期経腸栄養と腸管減圧を同時に可能するW-EDチューブの効果を検討した.
【対象と方法】対象は2007年から2016年に当科で施行したPD又はPPPD症例154例.当科では2009年3月までの症例では術後全例に中心静脈栄養(TPN)を施行していたが,2009年4月よりW-EDチューブを用いた早期経腸栄養(EN)を実施している.W-EDチューブは先端に栄養用孔,先端より約60㎝の部分に減圧用の側孔が開いており,空腸輸入脚から挿入して,胃(十二指腸)空腸吻合部より下流肛門側からの経腸栄養投与と拳上空腸内の減圧を同時に行うことができる.本検討ではこの術後ENを施行した102例(EN群)と術後TPNを施行した52例(TPN群)とを比較検討した.
【結果】EN群とTPN群の間にで年齢,性別,術後CRP最高値,退院時白血球数,リンパ球数に有意差を認めなかったが,EN群では経口開始時期は有意に早く(EN群:8POD, TPN群:12POD, p = 0.02),術後IVHカテーテル留置期間は有意に短く(EN群:6日間, TPN群:14日間, p < 0.01),その結果カテーテル感染発症率も有意に低かった(EN群:8.0%, TPN群:27.0%, p < 0.01).さらに,EN群では,術後膵液漏(PF)の発症率が有意に低く(EN群:13.7%, TPN群:40.3%, p = 0.03),退院時のTP値とAlb値はとも有意に高値であり(p < 0.05),体重減少率は有意に低かった小さかった(EN群:-5.5%, TPN群:-8.7%, p = 0.02).また術後在院日数もEN群で有意に短かった(EN群:29日, TPN群:43日, p = 0.03).EN群とTPN群のうち合併症を認めなかったの生じなかった症例で第3腰椎高位での骨格筋面積の減少率を比較するとEN群で有意に小さかった(p < 0.05).EN群のうちsoft pancreasでPFを認めなかった生じなかった症例では7PODまでの空腸脚からの総排液量が有意に多かった(PFなし:1036ml, PFあり:484ml, p = 0.04).
【結語】PD術後にW-EDチューブを用いて早期経腸栄養と拳上空腸の減圧を行うことで,術後の栄養状態の改善と膵液瘻発症の予防が期待できる可能性が示唆された
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