演題

O2-56-6-2

膵頭十二指腸切除術術後在宅経腸栄養の安全性と有用性の評価

[演者] 伊藤 大介:1
[著者] 有田 淳一:1, 赤松 延久:1, 金子 順一:1, 伊地知 秀明:2, 窪田 直人:2, 阪本 良弘:1, 長谷川 潔:1, 國土 典宏:1
1:東京大学附属病院 肝・胆・膵外科, 2:東京大学附属病院 病態栄養治療部

【背景】
膵頭十二指腸切除術(PD)術後合併症の危険因子の1つに術後低栄養が言われているが,胃内容排泄遅延や経口摂取不良から術後低栄養になることもしばしば経験する.一方,食道癌や胃癌術後症例では在宅経腸栄養で栄養状態が改善されることが報告されているが,PD術後の在宅経腸栄養の有効性について評価した報告はまだない.
【方法】
2012年12月から2016年6月までに施行されたPD術後患者のうち,退院時の1日あたりの経口摂取カロリーが15kcal/kg未満の患者に対し,在宅経腸栄養施行(在宅経腸栄養群)および未施行(非在宅経腸栄養群)に分け評価した.経腸栄養は術後1日目から開始し,食事量に応じて適宜増減した.日本静脈経腸栄養ガイドラインでエネルギー投与量は25-30kcal/kgを基準とされており,その半分を本研究では介入の適応とした.投与期間は退院後6週間を目安としたが,経口摂取量に合わせて増減した.
【結果】
PD術後患者150名のうち退院時の1日経口摂取カロリー15kcal/kg未満の患者は64名(42.7%)であり,そのうち在宅経腸栄養群は24例(37.5%)であった.在宅経腸栄養は中央値で68日[21-90日]施行され,チューブ閉塞を2例(8.4%)認めたが,他の合併症は認めなかった.退院後から術後90日目までのClavien-Dindo grade II以上の合併症発生率は有意に在宅経腸栄養群で低く(16.7% vs. 43.5%, P=0.031) ,退院後から術後90日目までの体重増加率 (4.9% vs. -4.0%, P = 0.003) ,筋肉増加率 (6.7% vs. 0.4%, P=0.005),術後90日目のAlb値(3.8 g/dl vs. 3.5 g/dl, P=0.020)は有意に高かった.多変量解析での在宅経腸栄養導入によるClavien-Dindo grade II以上の合併症発生率のオッズ比は3.86 (95%信頼区間:0.81-15.2)であり独立危険因子であった.
【結論】
PD術後患者に対する在宅経腸栄養は合併症も許容範囲で安全に施行可能であった.退院後から術後90日目までの合併症率も有意に改善し,その有用性が示唆された.
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