演題

O2-54-6-4

結腸癌ERAS:消化管運動の術後早期回復に影響を与える因子は?:放射線不透過マーカーを用いた客観的評価

[演者] 横山 康行:1
[著者] 山田 岳史:1, 小泉 岐博:1, 進士 誠一:1, 高橋 吾郎:1, 堀田 正啓:1, 岩井 拓磨:1, 武田 幸樹:1, 原 敬介:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学付属病院 消化器外科

【背景】ERASの目的の一つは絶食期間の短縮であり,そのためには経口摂取の早期再開が必要となる.我々は術後の消化管運動,特に小腸の運動能を早期に回復させる周術期管理が経口摂取再開に重要であると考えてきたが,早期回復に有用であるかは明らかでない.消化管運動能の評価には,排ガス,排便,経口摂取の時期,嘔気,嘔吐などが用いられてきたが定量的な評価が難しい.本研究では放射線不透過マーカーであるSITZ MARKS®(SM)を用い消化管運動能を客観的に評価することで術後消化管運動能の早期回復に寄与する因子を検討した.
【方法】対象は2009年1月から2014年12月までに待機的手術を行った結腸癌症例.閉塞性大腸癌症例,ストマ造設例,複数の吻合を要した症例,他臓器合併切除例,術後ICU管理となった症例を除外した.執刀2時間前にSMを内服させ,術後に腹部X線撮影を行い,術後3日目に小腸内にSMが残存していない症例を早期回復例と定義した.年齢,性,腫瘍部位,進行度,polyethylene glycol (PEG)の投与の有無,手術のアプローチ法(腹腔鏡または開腹),手術時間,術中in-outバランス,併存疾患の有無(貧血,糖尿病,神経系,心血管系,呼吸器系)のうち術後消化管運動能に影響を与える因子を多変量解析(二項ロジスティック回帰分析)にて抽出した.本研究はヘルシンキ宣言を遵守しており,IRBの承認を得ている.
【結果】対象は408例であった.多変量解析で術後消化管運動能に影響を与えた因子として抽出されたのは,PEG投与あり(P<0.001,オッズ比:0.41,CI:0.26-0.64),腹腔鏡手術(P=0.002,オッズ比:2.2,CI:1.3-3.6),術中in-outバランスが10 ml/kg/h以上(P=0.041,オッズ比:0.64,CI:0.41-0.98)であった.
PEG非投与例では手術時間が220分以上だったのは50.6%,(投与52.4%,p=0.75),出血量>100mlは35.8%(投与50.0%,p<0.01),縫合不全1.1%(投与4.2%,p=0.07),SSIは2.3%(投与1.4%,p=0.71),術後イレウス5%(投与2.1%,p=0.19)であった
【結語】結腸癌手術では,PEGによる機械的前処置を止め,腹腔鏡手術を選択し,術中in-outバランスを適正に保つことが,消化管運動能の早期回復に重要である.PEG投与例と比較して,PEG非投与例では手術時間や術後合併症に差は認めず,出血量は少ないため,PEGの中止は許容できる.
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