演題

O2-54-6-3

ERASを遵守した周術期大腸切除クリニカルパスは医療経済学的に有用である

[演者] 小川 克大:1
[著者] 遊佐 俊彦:1, 武山 秀晶:1, 岡部 弘尚:1, 尾﨑 宣之:1, 林 洋光:1, 赤星 慎一:1, 生田 義明:1, 緒方 健一:1, 髙森 啓史:1
1:済生会熊本病院 外科センター

【背景と目的】2004年から当科では大腸切除クリニカルパス(CP)を導入し,多職種(医師・看護師・栄養士・薬剤師・理学療法士等)でその問題点を抽出し,同時にERASの概念を導入しながら改訂を重ね,現行の周術期大腸切除クリニカルパスに至った.今回,ERAS概念導入前CPおよび同概念導入後2回の改訂を行った合計3つのCPを比較検討した.
【対象と方法】2012年4月から2016年10月までに当科にてCPを使用し大腸切除を行った503例を対象とした.①前期:ERAS導入前CP期,②中期:ERAS導入後CP期(以下の項目導入1.外来での排便コントロール,2.周術期絶食期間の短縮,3.ポリエチレングリコールによる腸管前処置の廃止,4. POD2からの経口摂取),③後期:ERAS導入後改訂CP期(以下の項目導入1. 早期離床目的の術後リハビリ介入,2. 術後鎮痛対策のアセトアミノフェン定期内服)の3期に分けて患者背景因子(年齢,性別,腫瘍局在,TNM分類),手術関連因子(手術時間,出血量,腹腔鏡使用,ストマ造設,リンパ節郭清),アウトカム(飲水・経口摂取開始日,在院日数,合併症,再入院,医療費)について比較検討した.有意差検定にはKruskal-Wallis testとChi-squared testを用い,連続変数は中央値,カテゴリー変数は割合(%)で表記した.
【結果】症例数は前期/中期/後期=182/183/138であった.患者背景因子には,3群間に有意差を認めなかった.手術関連因子では腹腔鏡,郭清,ストマ造設に有意差はなかったが,手術時間は前期/中期/後期=286/264/248と後期が前期に比して有意に短縮していた.アウトカムは,飲水開始日は前期/中期/後期=2/1/1,経口摂取日は前期/中期/後期=3.5/2/2といずれも後期で有意に早かった.術後合併症では,Clavien-Dindo分類≧3の合併症率は前期/中期/後期=9/15/7と有意差は認めず,SSI発生率,腸閉塞発生率にも有意差は認めなかった.術後在院日数は前期/中期/後期=11/10/8と後期で有意に短縮していたが,再入院率には有意差を認めなかった.手術費(千円)は前期/中期/後期=644/701/899と後期で有意に高額であったが,非手術費(千円)は前期/中期/後期=889/767/489と後期で有意に低額となり,総医療費(千円)も前期/中期/後期=1646/1529/1444と後期が有意に低額であった.
【まとめ】ERASに準拠し,問題点を抽出・改訂したCPは,術後合併症や再入院を増やすことなく有意に在院日数を短縮させ,総医療費削減が可能であった.
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