演題

O2-54-6-2

フレイルは結腸直腸癌手術後合併症発生の危険因子で,術後回復促進の負の要因となる

[演者] 岡部 弘尚:1
[著者] 小川 克大:1, 遊佐 俊彦:1, 武山 秀晶:1, 林 洋光:1, 尾﨑 宣之:1, 赤星 慎一:1, 生田 義明:1, 緒方 健一:1, 高森 啓史:1
1:済生会熊本病院 外科センター

【背景・目的】社会の高齢化が顕著な本邦では,医療経済の観点からもERASの概念は重要である.更なるERAS改善策として,術後合併症ハイリスクグループの選別は有用である.当院では術後合併症ハイリスクグループの選別を企図してClinical frailty score(CFS)を用いたフレイル評価を術前前向きに行っており,今回,その有用性を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】2013年5月から2016年5月までの65歳以上の結腸直腸癌予定手術214例を対象として,Sarcopenia(J Clin Oncol 2013)とCFS(CMAJ 2005)を用いて,患者Frailtyを評価し,術後短期成績との相関を検討した.
【結果】年齢の中央値は74歳.Clavien-Dindo分類(CD)3以上の合併症は29例(14%),術後平均在院日数は11日で,術後在院死は認めなかった.CFS陽性例(CFS4点以上)を62例(29%),Sarcopenia陽性例を127例(59%)に認めた.CFS陽性群は高齢(p<0.0001),CD3以上の合併症(p=0.0014),術後在院日数(p<0.0001),入院コスト(p<0.0001)と有意な相関を認めた.但し,CFS陽性は,縫合不全発生および栄養学的指標(Prognostic nutrition index)とは関連を認めなかった.一方,Sarcopeniaはいずれの術後短期成績とも相関を認めなかった.また,SarcopeniaとCFSとの間には相関を認めなかった.さらに,CD3以上の合併症発生危険因子について多変量解析を行うと,術前・術中因子の中でCFS陽性のみが有意な危険因子であった(オッズ比3.3,p=0.0051).
【考察】CTを用いた骨格筋量を測定するSarcopeniaは,大腸直腸癌手術の短期成績においてMortalityとの相関のみが報告されている(Ann Surg 2015).一方,CFSは外来での問診のみで評価できる簡便な方法であり,術後の短期成績をより鋭敏に予測可能であった.
【結語】結腸直腸癌の手術において,CFSは術後合併症発生を予測する有用な評価法であり,ERASの負の要因である.今後,ERAS対策のひとつとして,術前リハビリ・強制栄養介入によるCFS改善が術後合併症防止に寄与するかの検討が必要である.
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