演題

O2-53-6-4

肝移植においてERASの導入は可能か?~チーム医療と周術期栄養感染対策バンドルの有用性

[演者] 海道 利実:1
[著者] 佐藤 朝日:1, 八木 真太郎:1, 穴澤 貴行:1, 加茂 直子:1, 秦 浩一郎:1, 岡島 英明:1, 上本 伸二:1
1:京都大学大学院 肝胆膵・移植外科学

【目的】肝移植はERASの対極にあり導入が困難と考えられてきた.また肝移植患者は低栄養かつ易感染性であり,周術期管理は極めて重要である.そこで我々は,肝移植におけるERASの導入に向け,積極的にチーム医療を推進し,さらに新たな周術期栄養感染対策バンドルを確立したので,その有用性について報告する.
【方法】チーム医療の推進:①入院時,管理栄養士と医師が栄養状態とサルコペニアを評価(体組成計とCTにて筋肉量や握力などを測定),②管理栄養士がメニューを作り術前栄養介入,③理学療法士(PT)・言語聴覚療法士が術前リハビリ介入・嚥下機能評価,④ICT,看護師,コーディネーター,管理栄養士,PTを含む多職種による術前術後カンファレンスにて,移植患者の情報共有と問題点の早期解決,⑤術後早期経腸栄養・リハビリ介入など.
周術期栄養感染対策バンドルの確立:サルコペニアを考慮した移植適応,絶飲食期間の短縮や術前リハビリを含む積極的周術期栄養・リハビリ介入,手指衛生の徹底,プロカルシトニンモニタリング,ステロイドフリー免疫抑制からなる新たな周術期管理バンドルを確立し,2013年より運用開始.
検討1:バンドル運用前後で,患者背景,術後菌血症発症率,感染症による死亡率,生存率等を比較検討.検討2:ERASの主要プロトコールである術後早期経口摂取促進目的で,肝移植後の消化管障害に対する大建中湯の有効性に関する多施設共同二重盲検ランダム化比較試験を施行(UMIN14326).
【結果】検討1:運用前後で,Child-Pugh分類やMELDスコアなど患者重症度に有意差を認めず.運用後,術後菌血症発症率,感染症による死亡率,抗生剤使用日数,術後在院日数等は有意に低下し,生存率が有意に向上.検討2:大建中湯群は対照群に比べ,術後の経口・経腸栄養総カロリー増加率が有意に高率で,門脈血流が有意に上昇.
【結語】肝移植においても部分的にERASを導入でき,周術期栄養感染対策バンドルの運用により肝移植後アウトカムが有意に改善した.
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