演題

O2-53-6-2

胸腔鏡下食道切除におけるERASプロトコル導入は高齢患者の術後在院日数を短縮する

[演者] 瓶子 隆弘:1
[著者] 今野 卓朗:1, 丸山 祥太:1, 神谷 蔵人:1, 佐藤 千晃:1, 武山 大輔:1, 谷山 裕亮:1, 櫻井 直:1, 中野 徹:1, 亀井 尚:1
1:東北大学大学院 先進外科学

(はじめに)ERASプロトコルは患者の術後早期回復を目指した周術期管理方法として様々な術式,特に結腸手術において広く採用されており,その有用性が報告されている.しかし食道切除術におけるERASプロトコルの有用性についての報告は少ない.今回我々は胸腔鏡下食道切除術におけるERASプロトコルが周術期成績にどのような影響を与えるかについて検討した.
(対象と方法)2014年に我々のERASプロトコルが改定され,新たに手術2時間前までの飲水と炭水化物負荷,当日抜管,手術翌日からの飲水を開始した.2009年から2016年に当施設で行われた胸腔鏡下食道切除,胃管再建症例378例を,2013年までの従来の手術期管理が行われた群(Group C, 234症例)と2014年からの新プロトコールを採用した群(Group E, 144症例)に分けた.さらに両群を75歳未満と75歳以上で細分した.それぞれの群における術後在院日数(LOS),集中治療室滞在期間,手術期合併症を比較検討した.
(結果)Group EとCにおいて,患者背景は年齢以外について差は無かった.Group E (66.91 ± 8.99才, 平均 ± 標準偏差)はGroup C(65.03 ± 8.46)と比べて高齢であった(P = 0.034).Group Eの集中治療室滞在期間は有意に短かった(Group E 2.74 ± 1.15日 対 Group C 4.74 ± 5.18日, P<0.001).Group EのLOSはGroup Cと比べて短縮傾向にあったが有意差はなかった(Group E 25.72 ± 21.34日 対 Group C 29.33 ± 26.34日, P = 0.083).両群に周術期合併症の差は見られなかった.次に両群を75才未満と75才以上に細分して検討した.75才未満の症例において,LOSの差は両群間で認めず(Group E 26.17 ± 22.19日, 204症例 対 Group C 27.20 ± 20.84日, 119症例, P = 0.341),Group Eにおいて周術期肺合併症の頻度が有意では無かったが高い傾向にあった(Group E 15.13 % 対 Group C 9.31 %, P = 0.082).一方,75才以上の症例において,Group EのLOSがGroup Cと比べて有意に短かった(Group E 23.16 ± 10.44日, 25症例 対 Group C 29.07 ± 13.40日, 30症例, P = 0.042).75才以上の周術期肺合併症の頻度は両群間で差を認めなかった(Group E 16.0 % 対 Group C 23.3 %, P = 0.37).
(結語)ERASプロトコルの導入によって,高齢者の胸腔鏡下食道切除後の在院日数短縮につながった.ただ,ERAS群で周術期肺合併症の頻度が高い傾向であった.患者が術後早期の経口摂取を始める際は,注意する必要がある.
詳細検索