演題

O2-53-6-1

ERASへの貢献 ~食道領域でのアセトアミノフェンが担う役割~

[演者] 大倉 遊:1
[著者] 上野 正紀:1, 小林 直:1, 本田 文:1, 田中 毅:1, 春田 周宇介:1, 宇田川 晴司:1
1:虎の門病院 消化器外科

目的
食道癌術後鎮痛としてのアセトアミノフェン定時点滴静注の臨床的効果や術後麻薬投与量・術後早期回復に与える影響を検討した.
方法
2016年2月から術後鎮痛としてアセトアミノフェン静注薬の定時投与を開始した.2014年6月から2016年11月,食道癌に対して食道切除術を施行し,術後鎮痛として硬膜外麻酔(Patients control analgesia: PCA併用)を使用した,アセトアミノフェン導入前93例, 導入後57例 をそれぞれC(Control)群,A(Acetaminophen)群とした. 両群の背景因子からPropensity score matchingを行ない, C群57例, A群57例を対象とした.①術後経過(熱型,炎症反応), ②術後合併症,③術後疼痛評価,④臨床効果(腸管運動改善効果, PONV出現率,),⑤ERASについて両群間で比較検討を行った
結果
周術期を通してA群で有意な解熱効果が得られた(p<0.05).一方で術後炎症反応・合併症には有意差は認められなかった.疼痛評価に関して,A群でPCAのPush回数が有意に減少(p<0.05)し疼痛自覚が軽減,オピオイド投与量は手術当日から一日ごとのオピオイド投与量,総投与量いずれもA群で有意に減少した(p<0.05).さらに他の非オピオイド鎮痛剤のレスキュー使用頻度も減少した(p<0.001).腸管運動改善効果として,術後初回排ガス日・排便日はいずれもA群で有意に短縮(p=0.001/ p=0.035)した. ERASの観点から,初回歩行(1.0 vs. 2.0 日, p < 0.001)やICU在室期間(3.05 vs. 3.62 日, p=0.003)はA郡で有意な短縮を認めた.さらに術後在院日数(21.6 vs.26.8 日, p=0.074)は有意差こそ得られなかったものの,約5日間の短縮傾向が認められた.
結語
アセトアミノフェン点滴静注の定時使用は,術後疼痛を増悪させることなく麻薬使用量を減少させることができるのみならず,消化管運動促進,早期離床・歩行,ICU期間短縮,さらには術後在院日数短縮とERASにおける重要な役割を担う可能性が示唆された.
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