演題

O3-125-9-6

膵頭十二指腸切除術後膵液瘻予防における手術の定型化とクリニカルパス導入の有用性

[演者] 生田 義明:1
[著者] 遊佐 俊彦:1, 武山 秀晶:1, 小川 克大:1, 岡部 弘尚:1, 尾崎 宣之:1, 林 洋光:1, 赤星 慎一:1, 緒方 健一:1, 高森 啓史:1
1:済生会熊本病院 外科センター

【背景と目的】膵頭十二指腸切除術 (PD)は,在院死亡率は低下傾向を認めるが,いまだ膵液瘻(PF)などの術後合併症の発生頻度が高い術式である.当院では,2014年5月から再建法とドレーン留置の定型化およびクリニカルパス(CP)を導入し,術後合併症防止に努めている.その効果について検討した.【対象と方法】2012年4月から2016年11月にPDを131例施行し,重複癌と胃切除後症例を除く121例(定型化およびパス導入後の後期群71例と導入前の前期群50例)について,入院期間およびドレーン留置期間,さらにPFなどの合併症発生率を比較検討した.手術の定型化として,①膵消化管吻合は膵胃吻合を行い,結腸前ルートで胃空腸吻合を行った.②郭清後の動脈を肝円索で被覆し,PF後の動脈破綻防止を図った.③DGE防止策として,輸入脚から膵管および経腸栄養チューブを体外に誘導固定し,胃空腸吻合の輸出脚が尾側にストレートとなるようにした.CPでは,POD1から飲水開始,POD2から経腸栄養開始,POD7から経口食開始とした.POD4まで連日ドレーン排液アミラーゼを測定し,CTでドレーン周囲に液体貯留なきことを確認し抜去.離床は,POD1より端坐位,歩行を行った.【結果】手術関連因子では,手術時間および出血量は,各々,前期群は554±80分と852±547mlで,後期群が476±88分と619±515mlであり,いずれも後期群で有意に改善していた.ドレーン留置期間は,前期群14.8 ±18日から後期群11.2±10日と短縮し,入院期間は,前期群32±20日から後期群24±12日と有意に短縮した.Clavian Dindo IIIa以上合併症は,前期群20例(40%),後期群25例(35%)と有意差を認めなかった.PF発生率は前期群が31例(62%)(Grade A/B/C=14/13/4)で,後期群は21例(29.6%)(Grade A/B/C=6/12/3)であり,後期群で有意に少なかった.DGEおよびSSIは,各々,前期群が23例(46%)および5例(10%)で,後期群は22例(31%)および8例(11%)で有意差を認めなかった.術後在院死は,前期群に1例認めた.【まとめ】手術の定型化を行うことで,手術時間および出血量は有意に改善し,PF発生率も有意に低下し,手術の定型化の有用性が示唆された.さらにCP導入により,ドレーン留置期間と在院日数が短縮され,PD周術期管理にCPは有用であると考えられた.
詳細検索