演題

O3-125-9-4

Blumgart型膵ー空腸吻合,その先の改良へ:吻合部内へのサクションドレーンの直接挿入

[演者] 小田 竜也:1
[著者] 橋本 真治:1, 下村 治:1, 高橋 一広:1, 大城 幸雄:1, 榎本 剛史:1, 明石 義正:1, 大原 佑介:1, 倉田 昌直:1, 大河内 信弘:1
1:筑波大学医学部 消化器外科・臓器移植外科

【背景】PD後のBlumgart型吻合は2010年の論文化をきっかけに日本全国に広がり,最近はその好成績を謳う発表が目立つ.貫通糸の結紮による膵実質損傷が起こりにくい事が利点とされる本法だが,膵実質の厚みに対して小腸壁の取り幅が短いと実質損傷をきたす事があり,逆に長過ぎると小腸壁がたるみ密着しない.我々は,Blumgart型吻合にも依然として不完全さが残ると考え,膵-腸吻合の間隙にあらかじめ低圧サクションドレーンを留置し,漏出してくる膵液を排出するという全く新しい概念に基づく膵液漏防止法(Inter-anastomosis-dranage: IAD)を施行してきた.IAD法開始初期のsoft pancに限定した17例で膵液漏は5.9%と非常に良好な成績を示した(ODA et.al. J. Am Coll Surg 2015).今回,その後の蓄積症例の成績を報告し,本方法でしか得られない有用な情報を基に膵液瘻発症のメカニズムを考察する.【方法】IAD 法では,10Frチャンネルドレーンの吸引部を膵空腸吻合間隙に留置し,挙上空腸内腔を経て盲端から体外に出し,低圧持続吸引装置(J-VAC)に接続する.2010年6月にスタートしたBlumgart法単独(B-群)73例と,2014年3月から始めたBlumgart法+IAD チューブ (B-IAD群)73例の術後成績をretrospectiveに比較した.【結果】IADチューブからの排液の量は,平均7.1mL/日,アミラーゼ値は75,180 U/mLであり,多くの症例でPOD3-5にはほぼ0になった.POD 1, POD 3における腹腔ドレーンAmy(中央値)は,B-群において2800 ,330 U/mL,B+IAD 群では1812, 173 U/ mLであった.ISBPF grade B+Cの膵液漏は,B群25.4% (17/73),B+IAD群17.8% (13/73)であった.術後在院日数(POHS)はB群16日,B+IAD群16日であった.【結論】IAD法開始初期の良好な成績以後,チューブの形状,固定法などを変更する過程でかえって感染性膵液漏を誘発したと思われる症例も出現し,IADチューブによるBlumgart法への上乗せ効果は見られなくなっている.そのメカニズムとして,消化液の混入が膵液を活性化した事,吻合部への異物の挿入が癒着機転を阻害した事などが考えられる.一方,術後3-5PODにドレーンをルーチンに入れ替える事により膵液漏を重症化させる事無くPOHS16日に安定させている術後管理についても提示する.
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