演題

O3-125-9-2

膵瘻の危険因子から考える至適吻合法

[演者] 中川 圭:1
[著者] 元井 冬彦:1, 深瀬 耕二:1, 水間 正道:1, 益田 邦洋:1, 大塚 英郎:1, 林 洋毅:1, 森川 孝則:1, 内藤 剛:1, 海野 倫明:1
1:東北大学大学院 消化器外科学

【目的】
当科では2007年の膵頭十二指腸切除のクリニカルパス化を契機に,切除や吻合の画一化を進め,膵空腸吻合は古典的膵管空腸粘膜縫合(Duct-to-mucosa, two-layer)のみとしてきた.2016年から吻合法にBlumgart法も併施を開始した.Blumgartの短期導入成績と膵液瘻(PF;ISGPF grade B/C)の危険因子から吻合の最適化について検討した.
【方法】
前向きに登録・記録した2012年から2014年までの膵管空腸粘膜縫合(T)111例と2016年2月から9月に施行した導入期のBlumgart 法(B)28例の膵空腸吻合施行症例の短期成績を評価した.
【結果】
年齢の中央値は68歳(T vs B:69 vs 65,ns)でBMIの中央値は22.2 (22.0 vs 23.2, ns).出血量中央値1120ml(1125 vs 1030, ns),手術時間中央値553分(555 vs 551, ns),膵空腸吻合時間は中央値42分(43 vs 35, p<0.0001)であった.PFは45例(40%)でT群40例(36%), B群で15例(54%)で有意差はなかった(p=0.0930).
膵硬度が硬いと判断される症例(n=11)のBlumgart法のPFは1例(9%)のみであった.
太径膵管(3mm超過)症例は70例でPF 14例(20%)に対し,細径膵管(3mm以下)の症例は69例で41例(59%)と有意(p<0.0001)に高かった.BMI25以上(30例)のPF発生率57%(17例)とBMI25未満(109例)のPF率 35%(38例)にも有意差(p=0.0322)を認めた.
多重ロジスティック回帰解析を施行すると,PF発生の危険因子として,細径膵管(オッズ比6.59, p<0.0001)とBMI(1単位オッズ比1.16, p=0.0260)があげられ,吻合法(Blumgart 法 2.09, p=0.1318)に有意差はなかった.
また,危険因子である膵管径・BMIごとで,吻合法別のPF発生頻度を検討したがいずれにも有意差を認めなかった.
PF Grade Cの発生は9例(6%)でT群8例(7%), B群1例(4%)で有意差はなかった(p=0.4559).
【考察】
Blumgart 法は運針・結紮の確実性が高く,吻合時間も短いことが特徴である.膵管径が太く膵実質の硬度が高い症例では,導入時から良好な成績が得られ,術者経験を埋めることができる可能性がある.
対して,細膵管径で正常膵の症例ではGrade Bの発生率は吻合法に依らず高く,ドレナージや動脈保護によりGrade Cに至らないようにする対策が重要である.あわせて当科ではこれら危険因子を勘案し,BMIと術中計測膵管径から膵空腸吻合の術者を選別する対応を始めており,症例を集積の上成績を評価したい.
詳細検索